世間的にも注目が集まっているプログラミングスクールですが、良い噂だけでなく、悪い噂も溢れています。「プログラミングスクールは闇が深い」、「悪質スクールに騙された」、「借金やローンだけ残った」など、暗いエピソードを語る方もいます。
誇張して語っている方もいますが、実際に闇を抱えたプログラミングスクールも存在します。
今回はそんなプログラミングスクールの現実や実態について紹介します。
プログラミングスクールの現状
プログラミングに注目が集まる中、プログラミングスクールの数は近年急増しています。
GMOグループが運営する大手プログラミング教室検索サイト『コエテコ』に掲載されているプログラミング教室の数も、2018年は6270教室であったのに対し、2021年は10900教室に膨れ上がっています。
小学校からプログラミングの授業が導入されたこともあり、子供向けのプログラミングスクールも急増。働き方改革などの影響から、副業やフリーランスにも注目があつまり、社会人からの人気も依然として高い状況です。
しかしこれだけの数があるため、プログラミングスクールの質もピンキリです。参入のしやすいビジネスでもあるため悪い噂もたえず、闇が深いサービスともいわれます。
「プログラミングスクールは役に立たない」、「思うようにスキルが身につかなかった」という声も少なくはなく、さらには「ブラックな就職先を斡旋された」、「就職もできず高額な授業料の支払いローンだけが残った」という悲惨な状況に陥る人もいるようです。
プログラミングスクールの闇
プログラミングスクールの質はピンキリであり、なかには悪徳商法ともいえるようなスクール、問題を抱えたスクールも少なくはありません。
ここでは、プログラミングスクールの抱える闇の部分を紹介します。
参入がしやすいため、お粗末なスクールも多い
プログラミングスクールは参入のしやすいビジネスです。開業にあたってとくに資格などの制限もなく、比較的簡単にビジネスをスタートできます。
それこそ、オンライン授業主体のスクールであれば、設備投資なども少なくて済むため、参入のハードルは一気に下がります。
したがって、十分な教育体制、カリキュラム、教材などを用意せずに見切り発車で開業しているケースもあります。さらにはITやプログラミングとまったく関係ない会社や個人が運営しているケースもあります。
そういったプログラミングスクールでは、十分な教育が受けられないことが多く、酷いところでは、入学金と授業料をとることだけが目的となっているスクールもあります。
スキル不十分の人間が講師をするスクールもある
プログラミングスキルが身に付くかは、教える「講師」の質によっても左右されます。
しかしプログラミングスクールの講師には、学校の先生のように教育免許などは不要です。いってしまえば誰でも講師となれます。
そして利益第一のプログラミングスクールでは、講師にかけるコストも削減していることがあります。なかにはプログラマーとして実務経験すらない未経験者、プログラムを少し“かじっただけ”の学生などを講師として立てているスクールもあります。
そのようなスクールでは、教材の質も低く、教材だけ渡しあとは放置が基本ということもあります。分からない部分の質問を受け付けるスクールもありますが、講師の方もスムーズに質問に答えられないこともあるようです。
そういった環境でプログラミングをスムーズに習得するのは困難といえます。
ブラックな就職先を斡旋される
プログラミングスクールの中には、卒業後にプログラマーとしての就職先を斡旋・紹介してくれるスクールもあります。
それ自体はプラスとなることもありますが、なかにはブラックな就職先を斡旋し生徒を路頭に迷わせるスクールも存在します。
背景には、IT業界の人材不足も関係しています。
SES(システムエンジニアリングサービス)やエンジニア派遣系の会社は、労働力となるエンジニアやプログラマーがいるほど儲かるわけですが、この手の業種は、IT業界の中でも特に人が集まりにくい業種です。
そのため、SES系の会社がプログラミングスクールを運営し、「授業料無料」などで生徒を集め、卒業生を自社グループのエンジニアとして活用するケースもあります。もしくはそのような斡旋ビジネスで斡旋料を得ているスクールもあります。
SESや派遣が一概にブラックとはいえませんが、この手の業種は「顧客先常駐」となることが多く、顧客先常駐の働き方は闇深い噂が少なくありません。
それこそプログラミングを学んだばかりの初心者を、単独で顧客先常駐させるような会社に斡旋され就職してしまうと、当人は過酷な状況に追い込まれることがあります。
授業料が高額
プログラミングスクールの授業料はスクールによってピンキリですが、ゼロからプログラミングを習得するコースであれば、数十万円単位の料金が発生するスクールが多いです。中には100万円以上の費用が掛かるスクールもあります。
さらに「追加料金」などのルールが小さくわかりにくく記載されていることもあり、途中で辞めると「違約金」などが取られるスクールもあります。
悪質なスクールに入ってしまうと、スキルは身につかず、高額な借金やローンだけが残るという事態にもなりかねません。
「理想」と「現実」のギャップ、卒業生の実態
プログラミングスクールには問題なく良質なスクールに通ったとしても、理想通りのキャリアが描けるとは限りません。
なかには、思う通りのキャリアが歩めず、理想と現実のギャップに打ちのめされ、プログラミングスクールを悪くいう人もいます。
ここではプログラミングスクール卒業生の現実について紹介します。
スクールを卒業しても就職先が保証されるものではない
プログラミングスクールは「学歴」にもならず、スクールを卒業したからといって、プログラマーとしての就職が保証されるわけでもありません。
民間企業への就職では、面接時に年齢・職歴・学歴・意欲・適性などの要素も含めて、評価選別が行われ、内定の合否が決まります。
もちろんプログラミングスキルがあるに越したことはなく、スクールで学んだことが「意欲」として評価されることもありますが、それが決定打になるとは限りません。
とくに大手のIT企業などであれば、年齢や職歴なども重視されますので、プログラミングスクールで学んだスキルでは、年齢や職歴のハンデを覆せないこともあります。
フリーランスの現実も厳しい
ネット上などでは、「スクールを卒業すれば未経験からフリーランスになれる」、「プログラミングを身につければ月何十万円も稼げる」などのうたい文句を見かけます。
しかし、フリーランスとしての開業は誰でも可能であり、いってしまえばスクールに通わなくてもフリーランスのプログラマーとして開業し名乗ることは可能です。
同時にフリーランスは完全な実力主義の世界であり、会社員以上にスキルがシビアに問われます。
したがって、スクールで身に着けた基本レベルのプログラミングスキルで、最初から月何十万円もの収入を得ることは現実的に難しいケースが多いです。人によってはまったく案件がとれずに無収入状態に陥ることもあるでしょう。
スクールで身に着けたプログラミングスキルを最初の足掛かりとすることはできますが、いずれにしてもスクールに通うだけでなく、その後の努力が必要になります。
事前によく調べ考えることもプログラマーの適性です!
以上のように、プログラミングスクールには闇深い事情もあります。もちろん良質なスクールもありますが、一歩間違えば借金やローンだけ残ったり、ブラックな就職先を斡旋されたりと、路頭に迷う状況に陥ることもあります。
道を踏み間違えないためにも、「自分が通おうとしているスクールに問題はないか」、「スクールでプログラミングを学ぶことは自分にとって本当にプラスになるのか」などの点を事前によく調べ、考慮した上で決めることが大切です。
幸い、ネットの普及した今の時代、評価や口コミ情報も多々拾うことができます。自分でよく調べ、考えることもプログラマーとしての「適性」に含まれてきます。