SNSなどでは「プログラミング副業で月〇十万円稼いだ」のような夢溢れる情報が飛び交っていますが、プログラミングは本当に稼げるのでしょうか。本業の傍らに行う副業であっても稼ぐことはできるのでしょうか。
今回は、「プログラミングの副業は稼げるのか？」「年収は？」など、プログラミング副業にまつわる収入事情について実情を交えながら解説します。副業をやってみたいけれど、収入面に不安のある方はぜひご参考下さい。
データから見る、現役エンジニアの副業の年収は？
既に経験やスキルのある現役エンジニアの場合、副業での年収はどの程度の額になるのでしょう。
これについて、プログラミングスクール『SAMURAI ENGINEER』を運営する株式会社SAMURAIが集計した「エンジニアの年収実態調査」の数値が一つの参考となります。この調査では、大手クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」に登録している現役エンジニア100名を対象に年収に関するアンケートを行っています。
現役エンジニアの「副業」における平均年収も回答されており、副業での平均年収は「男性345万円」「女性265万円」「全体325万円」という結果になっています。
※年収数値は「雇用形態による平均年収の比較」グラフ内の箱ひげ図の中央値で算出
（参考：https://www.sejuku.net/blog/166643）
副業で「全体325万円」というのはだいぶ高額であり、経験やスキルのある現役エンジニアであれば、副業でも十分に稼げることがこのデータからうかがえます。
なお、この数値はあくまで経験やスキルのあるエンジニアの例です。一方で未経験者や駆け出しのプログラマーの場合は、副業でまったく稼げないこともあります（詳しくは後述）。
案件から見る、プログラミング副業の年収
「週2日～OK」「週10時間の稼働でOK」「副業・複業OK」など、副業を前提とした案件求人も最近は急増しています。こうした副業系の案件で仕事をした場合、年間でどれくらい稼げるのでしょう。
例として、フリーランス向け案件支援大手「レバティックフリーランス」に掲載されている「週2日～」「週3日～」「副業・複業OK」の短期案件の一例を以下にピックアップします。
| 案件内容 | 最低稼働日数、雇用形態 | 求められる経験 | 単価目安 |
|---|---|---|---|
| C#及びC++を用いたコンシューマーゲームの開発 | 週2日～、業務委託、 | ・C++もしくはC#での開発経験3年以上・2つ以上のプログラミング言語の実務経験 | 月60万円 |
| Unityを用いたソーシャルゲーム及び周辺ツール開発 | 週2日～、業務委託 | ・Unityを用いた開発経験・ゲーム業界でのプログラミング経験3年以上 | 月60万円 |
| JavaScriptを用いたAIシステムの開発 | 週3日～、業務委託 | Next.js、Nuxt.js、Reactいずれかを用いた開発経験3年以上 | 月70万円 |
ご覧のように副業向けの案件であっても、こうした高額案件は存在します。たとえば1行目の「C#及びC++を用いたコンシューマーゲームの開発」は、月60万円の単価となるため、こうした案件を1年続ければ、単純計算で「年収720万円」になります。
ただし、こうした高額案件を副業として両立できるかは、人を選びます。高額案件では求められるスキルの水準も高く、納品物の規模も大きくなることがあるため、仕事のスピードが遅い方などですと、最低稼働日数「週2日～」の案件でありながら、週3日週4日と多くの稼働が必要になり、専業のような状態となることもあります。
反対に経験や能力が高く、短期間で効率よく納品物を完成させられる人であれば、本業の合間の週2日程度の稼働で、月数十万円を得られることもあるのです。
上記いずれの案件も「副業・複業OK」となっていますので、副業として携わること自体は可能ではありますが、副業として両立できるかはまた別の話であり、本人の実力次第となるということです。
クラウドソーシングでのプログラミング副業の年収
「クラウドソーシング」とは、インターネット上で不特定多数に業務を発注する業務形態です。クラウドソーシングはプログラミング副業と相性がよく、さまざまなプログラミングの案件にクラウドソーシングを通じ参加できます。
傾向としては、中級者向けの小規模な開発案件、WEB系の案件が多いですが、プロフェッショナル向けの大規模な案件も一部存在します。
それではクラウドソーシングで副業をした場合はどの程度稼げるのでしょう。
クラウドソーシングサービスで受注できる代表的な案件と単価相場は以下のようになります。
| 案件内容 | 単価目安 |
|---|---|
| 各種マクロ・ツール作成 | 5000円～5万円 |
| Webページ作成・修正 | 2万円～30万円 |
| Webサイトサービス構築・修正 | 20万円～80万円 |
| スマホアプリ開発 | 10万円～100万円 |
上記はあくまで目安となり、クラウドソーシングの場合は大小さまざまな案件がありますので、案件の規模、物量、難易度などにより、金額はだいぶ上下します。
「各種マクロ・ツール作成」や「Webページ作成・修正」は、比較的小規模で簡単な案件が多いため、副業やWワーク向けです。たとえば「Webページ作成、1件単価2万円」の案件を受注し、1週間に1件こなしたとすれば、月収は8万円（2万円×4週）、年収は96万円となります（ただしクラウドソーシングは単発の案件が多く、常に仕事が受注できないこともあります）。
「Webサイトサービス構築・修正」や「スマホアプリ開発」は難易度が高くどちらかといえば専業向けですが、能力の高い方であれば副業や他掛け持ちでの受注も可能です。
クラウドソーシングの場合、最低稼働日数や最低稼働時間などは細かく設定されていない案件が多く、指定の納品物をしっかりと完成させさえすれば、いつ何時間働くかなどは自由にできることが多いです。つまりプログラミングのスピードが早く、短期間で効率よく納品物が作れる方は、こなせる案件も増えるため、収入も増加していきます。
アルバイトでのプログラミング副業の年収
プログラミングの仕事にはアルバイトの求人もあります。「週数日からOK」「副業OK」などの求人もありますので副業やWワークも不可能ではありません。
アルバイトとして行った場合の収入は、地域やスキルにもよりますが時給1500円～2000円程度が目安です。プロフェッショナル向けの開発業務や、プログラマー講師などの仕事ですと時給3000円以上となることもあります。
仮にプログラミングのアルバイトを時給1500円で週10時間行った場合、月収は6万円（1500円×10時間×4週）、年収は72万円となります。
アルバイトの場合は、基本的には時給制ですので、仕事のスピードに関係なく安定した収入が得られます。しかし悪くいえば収入の上限が決まっているため、スキルが高くスピーディに進められる人は敢えてアルバイトは避けることもあります。
初心者でもプログラミング副業で稼げる？
ここまで記載したように、経験やスキルのある現役プログラマーであれば、プログラミング副業で月何十万円も稼ぐことも夢ではありません。
一方、プログラミングの初心者、プログラミングスクールで基礎を学んだ程度の人ですと、残念ながらプログラミング副業でまとまった金額を稼ぐのは難しいのが現実です。というのもプログラマーの副業は実力主義の側面が強く、年単位の開発経験がないと、最初の選考でクライアントからはじかれ、そもそも仕事を得られないことが多いためです。
特に業務システムなど重要性の高いサービスのプログラム開発では、信頼できるスキルや実績のあるプログラマーでないと仕事が得られないのが実情です。
一方、クラウドソーシングで募集されている「各種マクロ・ツール作成」や「Webページ作成・修正」のような比較的簡単な案件であれば、駆け出しのプログラマーでも採用されることもあります。
ただし経験の乏しいプログラマーの場合、採用されても単価条件が低くなることが多く、尚且つ初心者でプログラムを完成させるまでのスピードが遅いと、アルバイトの収入にも満たない稼ぎとなることもあります。
プログラミングの副業は実力が問われる
以上、プログラミング副業の収入事情について解説しました。
プログラミング副業の案件の中には、月数十万円も稼げるものもあり、能力の高いプログラマーであればそうした案件で高い副業収入を得ていることもあります。
しかしプログラマーは腕が問われますので、誰もが副業で稼げるわけではなく、スキルの乏しいプログラマーでは副業収入ゼロが続くケースもあります。
よくも悪くもプログラマーの副業は実力主義の世界であることを理解しておくことが大切です。
