IT系のエンジニアの仕事について、「きつい」、「つらい」、「ブラックだ」などの声も少なくありません。それこそ未経験からエンジニアとなると余計にきつく、とてもじゃないけれどついていけないという人もいます。
さて、ITエンジニアの仕事は、具体的に何が大変でどの辺がきついのでしょう。今回は未経験からエンジニアへの転職を考えている方に向け、IT系のエンジニアのネガティブな側面を解説します。
IT系エンジニアがきついといわれる5つの理由
IT系のエンジニアの仕事は、巷でウワサされている通り、きつく辛いところもあります。ここでは、IT系のエンジニアならではのきつい部分をいくつか掘り下げて紹介します。
覚えることがたくさん、常に自己学習
IT系のエンジニアは、知識やスキルが武器となる仕事であるため、たくさんのIT知識を学んでいく必要があります。たとえばインフラエンジニアであれば、サーバー、データベース、ネットワーク、セキュリティなど多方面のIT知識を身に着ける必要があり、その量は莫大です。
また、IT技術というのは日々進化していますので、一度覚えたらそれでおわりではなく、常に同分野の最新の技術も追い、蓄えた知識をアップデートしていく必要もあります。
つまり、常に学ぶ姿勢、吸収していく姿勢が求められるのがITエンジニアという仕事です。新人時代だけでなく、年齢を重ねてベテランになっても、学びを止めるわけにはいきません。
そのため、学習意欲のない人、新しいものに触れることにストレスを感じる人などですと、この仕事はきつく感じることが多くなります。
残業が多い、帰れない
IT業界は「残業が多い業界」としても有名です。
近年は社会全体で無理な長時間残業を抑止しようとする動きがあるため、IT業界も以前に比べれば残業は減ってきたともいわれています。
とはいっても、他業界からみれば今も残業が多い業界であることには変わりません。とくに納期間近の時期などになると、毎日のように深夜遅くまで働いたり、休日も出勤しないといけないこともあります。
また、IT業界の人手不足は年々深刻化しており、仕事量に対して、エンジニアの数が根本的に足りていない現場もあります。だからといってお客様が待っている以上、開発を遅らせるわけにはいかないため、そのような環境では必然的に残業が発生してしまいます。
イレギュラーなことが多く振り回されやすい
ルーチン化された業務であれば、毎日同じような仕事を同じような時間に処理するため、日々のペースを作りやすいです。IT系のエンジニアの仕事は、いわばその反対にあります。
IT系のエンジニアもスケジュールを組んで仕事を進めますが、スケジュール通りにことが運ぶとは限りません。
たとえば、お客様から急遽仕様変更の要望があれば、想定外のタスクが発生し、予定していたスケジュールは崩れてしまいます。システムに予期せぬ技術的トラブルや障害が発生することもあり、そうなると復旧するまで、徹夜や休日返上で働かなければならないことも。プライベートの予定まで台無しになってしまうことも少なくはありません。
一人単独ではなくチームやプロジェクトを組んで働く仕事でもあるため、周囲のメンバーが仕事を抱えていると、自分だけ先に帰るわけにはいかず、分担させられることもあります。
そのようにイレギュラーなことが多く振り回されやすい環境であるため、自分のペースで働きたい人、想定外の状況に陥ると強いストレスを感じる人などでは、きつさも増します。
客先常駐はストレスを抱えやすい
IT系のエンジニアは、「客先常駐」という働き方をするケースも少なくありません。
「客先常駐」というのは、お客様先のオフィスなどに自分のデスクを設けてもらい、毎日そこで仕事する働き方です。基本的には常駐先に直行直帰となり、自分の会社には社内会議などでたまに顔を出す程度となります。
いわば常にお客様に囲まれて働くことになり、時には無茶な要求を受けたり、横柄な態度を取られたりすることもあるため、精神的につらく感じる時もあります。
また、自分の会社と疎遠になりやすく、自分の会社の上司や同僚たちとも関わりが薄くなりがちのため、長期常駐となると独特の孤独感も抱えやすいです。
とはいっても、「相性のよいお客様で、むしろ働きやすい」、「自分の会社の上司や同僚が周りにいないため、羽を伸ばして働ける」というケースもありますので、客先常駐がつらいことばかりとは一概にいえない部分もあります。
日夜逆転の不規則な生活になることも
ITシステムの構築作業や、メンテナンス作業は、お客様の営業時間外となる深夜帯や土日祝などを使って行うことが多いです。
したがって、構築チームや保守チームに配属された場合、毎日夜になったらデーターセンターに向かい、深夜のあいだに構築作業や保守作業をして、始発電車で帰宅するような日々が続くこともあります。
あくまで構築期間中や保守期間中の話となり、その日々が延々と続くわけではありませんが、だからこそ生活リズムを短期間で入れ替えないとならないこともあり、肉体的にきつく感じることもあります。
IT系のエンジニアは「未経験」だと余計にきつい?
未経験からIT系のエンジニアになることもできますが、「未経験者がエンジニアになると余計にきつい」とウワサされることも多いです。これについては間違ってはいません。
というのも、知識や経験がある人とない人とでは、同じ仕事をする場合でも労力や負担が変わるためです。
たとえば新人エンジニアの場合、動作テストの手順書作成やチェックリスト作成などを任されることが多いです。ある程度知識や経験のある人であればスムーズに作成できますが、まったく前提知識がない未経験者が一つ一つ調べながら作成するとなると時間がかかります。場合によっては残業になってしまうこともあり、新しいことばかりの環境で手探りに進める日々は、精神的な負担も大き くなるでしょう。
もちろん会社側も当人の知識や能力を考慮して仕事を割り振りますし、一人ではなくチームで仕事しますので、サポートしてくれる先輩などが周りにいるのが一般的です。とはいえ例外もあり、中にはまったくの未経験者に期限付きでむずかしい仕事を任せたり、十分な教育もせずに仕事だけ割り振るという会社もあるようです。
そのような環境に未経験者が置かれると、やはりきつい毎日となりやすく、中には耐えられずに退職してしまう人もいます。
きつい状況を乗り越えるために、事前にできることは?
未経験からエンジニアになる場合において、きつい状況に陥ることを避けるためには、次のような事前対策を行いましょう。
入社前に学べるものは学んでおく
おなじ未経験者でも、初歩的な部分は勉強している未経験者と、まったく何も知らない未経験者では、入社後の負担も変わります。
たとえば「サーバーとクライアントの関係」、「UnixやLinux」、「DNSサーバーの役割」など、ITの初歩的な技術知識は学んでおいたほうが後々苦労することが減ります。
また、技術知識だけでなく、「ITの開発はどのように進めるか」、「要件定義、設計、構築などの業務では具体的になにをするか」など、IT業界の仕事の進め方の部分も理解しておくと、入社後もスムーズに仕事を覚えていけます。
そのような知識をまとめた未経験者用向けの参考本や参考サイトも多々ありますので、余裕のある方は、入社前に学べることは学んでおくと自分のためになります。
会社選びも重要
一概にはいえない部分もありますが、一般的に規模の小さいIT企業ほど人手不足を抱えやすく、未経験者にも多くの仕事を振ったり、十分な教育もしないまま外部プロジェクトに送り出すこともあるようです。
会社の環境、体制、風土によってもきつさは変わってくるため、口コミ評価、離職率などに注目し、転職しようとしている会社のことを事前によく把握しておくことも大切です。
ストレス解消法を確立
仕事でたまったストレスをそのままにしておくと、悪循環となり、余計につらい状況に陥ります。反対に気を紛らわすための趣味などがあれば、多少仕事がつらくても乗り越えられることもあります。
ITエンジニアは土日は休みになるケースが多いため、土日や帰宅後にできるストレス解消法を確立しておくことも、入社後に精神的に潰れないための予防対策となります。
きつい部分もあるがやりがいもある仕事
IT系のエンジニアというのは、覚える知識も無数にありますし、納期や障害対応などで急に忙しくなることもあります。そのため、他の業界から転職する未経験者ですと最初はきつく感じてしまうことも多々あるかもしれません。
とはいえ、同時にITを通して社会を支えるやりがいもあり、未経験から活躍している人も大勢います。自分なりのきつい状況を乗り越える手段を身に着け、やりがいと上手く折り合いを付けられるかが長く働いていく上でのポイントとなるでしょう。