「会社員を続けながら、ITエンジニアを目指したい」「毎日家事と育児に追われているけど、エンジニアになりたい」という考えから、プログラミングスクールに通う人が増えています。
プログラミングスクールは「未経験からITエンジニアになる近道」と思われがちですが、実際どうなのでしょうか。
この記事では、未経験者が関心を持つプログラミングスクールの実情と、ITエンジニアになる近道について解説していきます。
未経験者がプログラミングを学ぶ方法は3つある
未経験者がプログラミングを学ぶ方法は、大きく分けて3つあります。
独学で学ぶ
最も手軽にプログラミングを学ぶ方法は、独学で学ぶことです。
昨今は無料視聴できる動画や学習サービスも充実しており、パソコンさえ持っていれば簡単に始めることができます。
費用を抑えられる、すべて自分のペースで学習を進められるといったメリットがありますが、一方で、学習に無駄が多い、モチベーション維持が難しく挫折する人が多いといったデメリットもあります。
大学や専門学校で学ぶ
大学の情報学科、情報工学科など、あるいは専門学校でもプログラミングを学ぶことができます。
大学であれば「理工系大学卒業」という学歴が付くので、大手IT企業への就職の道が開けるかもしれません。また、数学などの理論や関連する工学分野も幅広く学ぶことができます。
専門学校は1700時間以上の学科を修了すれば「専門士」という称号が与えられ、実践的な知識や経験を身に付けることができます。
プログラミングスクールで学ぶ
プログラミングスクールの受講期間は数か月から一か月程度で、短期集中型のカリキュラムが一般的です。通学のほかオンライン形式で受講できるところも多く、「時間がない」という人でも安心して学習することができます。
カリキュラムや講師の質は、スクールによって特に大きく差が出る部分です。クチコミやSNSなどでリサーチをしたり、体験教室に参加するなど、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
プログラミングスクールの授業形態
プログラミングスクールの授業形態には、マンツーマンや集団講義、オンデマンド講義(動画を視聴)などがあります。
マンツーマン
対面、あるいはZOOMなどビデオ通話によるマンツーマン指導は、自分のペースで学習を進められ、分からなければその都度質問できる気軽さが魅力です。
マンツーマン指導で実際に指導を受ける時間は、週に2~3時間程度と限られています。
これでは学習時間が十分ではないので、結局のところ、ほとんどの学習は自習で進めていく必要があります。
集団講義
リアルタイムの集団講義は、学校の授業で行うように教室で行われるものです。大人数で行われるところや、2~6人程度の少人数制を導入しているところがあります。
ライブ感があり、講師や他の受講生との一体感が生まれる反面、通学のための時間や場所に縛られてしまう上、講義のペースは講師に委ねられているのがデメリットです。
オンデマンド講義
オンライン講義は、オンライン上にある教材動画を閲覧しながら学習を進めるものです。
時間やペース配分を自分でコントロールできるので、スキマ時間などを利用して学習を進めることができます。
サブスクリプションの形式をとっているところもあり、費用が比較的安いのがメリットですが、すべて自己管理のため、モチベーション維持が難しい面もあります。
「プログラミングスクール、実際どうなの?」良い点、悪い点を解説
多くの人が通っているプログラミングスクールですが、実際のところ「いいの?悪いの?」と判断に困っている人も多いはず。
ここでは、スクールの良い点、悪い点について見ていきます。
何事にも良い側面、悪い側面はあるものなので、「自分に合っているか」という判断基準で決めるとよいでしょう。
良い点|モチベーションが続くので挫折しにくい
プログラミングスクールは、スクールによってさまざまなカリキュラムが組まれています。
どれがいいとは一概に言えませんが、一般的には、未経験からITエンジニアになったとき役に立つ実践的な内容が盛り込まれています。
カリキュラムに沿って進めればいいので、立ち止まったり悩んだりすることがさほどありません。そのため、モチベーションを維持しやすい、挫折しにくいといった特徴があります。
悪い点|費用が多くかかる
教育にはお金がかかるもの。プログラミングスクールに通うためには、それなりにまとまったお金が必要になります。
「費用対効果を考えれば安い」といった声も見られますが、スクールは一般的な習い事よりも全体的に高額と考えておきましょう。
なかには詐欺的な商法で儲けようとするスクールもあります。申し込んでトラブルに巻き込まれないように注意が必要です。
良い点|自由なタイミングで始められ、早く終了する
大学や専門学校では入学時期が4月・9月と決まっていますが、プログラミングスクールはタイミングを選ばずに始めることができます。
また、学習する期間は大学で4年、専門学校で2年なのに対し、スクールは1か月から数か月で終了します。
仕事の繁忙期は避けるなど状況に応じて始めることができるので、忙しい社会人には大きなメリットです。
悪い点|教えられる知識のレベルが低いところがある
スクールに悪意がなかったとしても、教えられる知識レベルが低いところ、メンターのレベルが低い場合などがあります。
無料体験や無料相談などを積極的に利用して、お金をかける価値があるかをしっかり見極めることが大切です。
良い点|受講スタイルに柔軟性がある
昨今はプログラミングスクールでもオンライン化が進み、受講スタイルが非常に幅広くなっています。
忙しい社会人は通学の時間が取れないことがネックでしたが、今では隙間時間を縫ってマイペースに受講することができるようになりました。
悪い点|「現役エンジニアの指導」がいいとは限らない
最近では「現役エンジニアが直接指導してくれる」という宣伝文句もよく見かけますが、これには注意が必要です。
エンジニアはITスキルは高くても、「教える」ことの専門家ではありません。
むしろエンジニアの中にはコミュニケーションスキルが低い人も一定数存在しているので、講師として適格かどうかの見極めが大切です。
未経験からプログラミングを習得する際に気を付けること
未経験者のプログラミング学習で気を付けるべきことをご紹介しておきます。
「完璧にする」必要はない
ITエンジニアのプログラミングスキルは、実際のシステム開発現場で身につけ、磨いていくものです。もともと知識を多く持っているわけではなく、必要に応じて誰かに聞いたり、調べたりすることで習得していきます。
ですから、プログラミング学習を「完璧にする」必要はありません。あくまでインデックスとして覚えておくだけで大丈夫。
ただし未経験者の場合、「未経験」というハンディキャップを「学習する意欲」でカバーする必要があります。そのため、それなりに多くの知識を身に付けておいたほうがいい場合があります。
「プログラミング学習」は即戦力ではない
独学でプログラミングスキルをどれほど磨いても、プログラミングスクールで「実践に即した」カリキュラムを受けても、あくまでそれは「学習」レベル。未経験として転職を果たし、現場に入ったとき、あなたが「未経験」であることに変わりはありません。
実際に役に立つ技術は、実際に働いてみなければ見につかないものです。「未経験」であることを謙虚に受け止め、他の人より貪欲に技術を磨いていく努力を怠ってはいけません。
とはいえ、学習の際には必ずポートフォリオを作成しておくことをお勧めします。現場では即戦力にならなくとも、「一定のスキルを見せる」ことはでき、転職活動の際に効果を発揮します。
完全未経験ならあえてプログラミングスクールに行かないキャリアもあり!
未経験からITエンジニアになる方法は、プログラミングスクールに通うことだけではありません。あえてスクールには通わず、独学でプログラミングの基礎を習得した上で、「未経験者歓迎」の求人に応募して転職するというキャリアもアリです。
どんなに「学習」を進めても、システム開発の現場では即戦力になりません。実際の現場で経験を積み、技術を磨いていくことでようやく一人前のITエンジニアになれるのです。
学び方は人それぞれ。あなたに合った学習スタイルを選び、「稼げるエンジニア」を目指しスキルを磨いていきましょう。