ITパスポートは、まったく勉強せず合格できる試験ではないため、事前に試験対策の勉強をする必要があります。それでは試験対策はいつから始めればよいのでしょう。「何日前から始めないと間に合わない」などの基準はあるのでしょうか。
今回はITパスポートの試験対策にかかる期間やはじめる時期、また試験日や申込のルールについて解説します。ITパスポートの試験形式を知り、自分にあったスケジュールで勉強を進めていきましょう。
試験対策をいつからはじめるかはスキルによって異なる
ITパスポートの試験対策をいつから始めるべきかについては、「ITの知識がどれだけあるか」、「これまでのIT関連の経歴があるか」などによって変わります。
ここでは、以下3つのタイプに分類し、それぞれでの試験対策に必要な勉強時間について解説します。
- まったくIT知識がない人(業界未経験者、職種未経験者など)
- ある程度IT知識がある人(情報系の学校に通う学生、IT系の仕事をしている社会人など)
- ITエンジニアとして働いている人
まったくIT知識がない人
「文系学部出身でITについて何も学んでいない」「販売職やドライバー職などITとはまったくかけ離れた仕事をしていた」など、まったくIT知識がない人の場合、試験対策に必要な勉強時間は約180時間といわれています。
シミュレーション:
180時間÷1日2時間勉強=90日(約3か月)
このように、まったくIT知識がない人であれば、単純計算で3か月前から試験対策をはじめる必要があります。
さらに「これまでパソコンやインターネットなどにあまり触れたことがない」「世間一般で使われるような日常的なITワードもよくわからない」という人になると、180時間以上の勉強時間が必要になることもあります。
ある程度IT知識がある人
「情報処理科など関連する学部・学科でITについての基礎知識は学んでいる」「エンジニアではないが普段仕事でITをよく使う社会人」「IT業界で働く社会人」などであれば、試験対策に必要な勉強時間は約100時間といわれています。
シミュレーション:
100時間÷1日2時間勉強=50日(約1か月半)
エンジニアのように設計や構築の経験はなくとも、普段の仕事で間接的にIT関連のソフトウェアや技術に触れることがあるという人であれば、ITパスポートの勉強も比較的スムーズに進められるでしょう。
ITエンジニアとして働いている人
「現在システムエンジニアやプログラマーとして働いている」「ITの設計・構築・運用などをしたことがある」という人であれば、日々の業務で得た知識を流用しやすいです。またITエンジニアの場合、新人教育などでITパスポートで出題されるような内容を学ぶことが多いため、知っている内容も多いはずです。
ただし後述もしますが、ITパスポートは技術知識だけでなくビジネス分野の出題もあるため、現役のITエンジニアでもまったく勉強時間ゼロでの合格は難しいです。人にもよりますが、少なくとも数時間~数十時間程度の試験対策が必要になるでしょう。
マメ知識:社会人やビジネスマンは勉強時間を短縮できることもある
ITパスポートは大きく以下3つの出題分野に分かれます。
1.テクノロジ系:
基礎理論、コンピュータシステム、技術要素
2.ストラテジ系:
システム戦略、経営戦略、企業と法務
3.マネジメント系:
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
ITやコンピュータに関する技術知識は「テクノロジ系」です。一方「ストラテジ系」「マネジメント系」は、技術知識というよりも、ITを用いたビジネス戦略に関する知識となります。そして「ストラテジ系」「マネジメント系」の出題が過半数を占め、「テクノロジ系」よりも多いのがITパスポートの試験の特徴でもあります。
つまり、ITの技術知識は乏しくとも、社会人経験、ビジネス経験、マネジメントやコンサルタント系の業務経験などがある人であれば、流用できる知識が多く、試験対策に必要な勉強時間も短縮できることがあります。
ITパスポートの試験日は?いつから申込できる?
ここでは、ITパスポートの試験日や申込期限などについて解説します。ITパスポートの試験日を決め、逆算的に試験対策を進めるようにしましょう。
ITパスポートの試験日について
ITパスポートは、CBT方式の多肢選択式(四肢択一)となり、すべてコンピュータ上で回答を行う試験となります。
ITパスポートは、全国47都道府県の試験会場で、原則ほぼ毎日実施されています。ITパスポート公式サイトの「試験開催状況一覧」にて、3か月後までの開催情報を確認できます。
会場にもよりますが、通常は朝、昼、夕方の3パートが用意されています。受験する会場に決まりはなく、自分の好きな会場を選び受験することができます。
いつから申込できる?
申込は、ITパスポート公式サイトの「受験申込ページ」にログインして行う形となります。
ITパスポートの申込は、最短で試験日前日の11時59分まで申込が可能です(クレジットカードやバウチャー払いの場合)。コンビニ支払いの場合は、試験日5日前までに申込む必要があります。
極端な話ですが、思い立ったその日に申込をし、翌日受験することも可能です。
なお、申込が行えるのは最長で試験の3か月前からです。受験申込ページでの予約カレンダーは3か月後までの表示となり、それより先は表示されないため予約できません。
繰り返し受験できる?
ITパスポートは、たとえ不合格になっても、繰り返し何度も受験することができます。再受験にルールや制限はありません。
コンピュータでミスした箇所などが試験後すぐに分かるため、弱点を克服しながら、繰り返し受験し、合格を目指す方法もあります。
ただし1回の受験で7,500円(税込)の受験料が発生します。
適性や興味によっても差がでやすい
ITパスポートは、IT分野やビジネス分野について、抵抗なく頭に入れられる人、興味があり率先して学びたいと思っている人のほうがスムーズに勉強が進みやすいです。
ITパスポート試験は毎回問題がランダムで変わり、出題範囲も広いです。5GやIoT、ブロックチェーンなど最新のIT技術が出題されることもあり、過去問を解くだけでは対応できないこともあります。そのため、ITの最新情報などアンテナを張り、自発的に調べていける人のほうが、引き出しも増えランダムな出題に対応しやすいのです。
反対に、「IT系の内容は読んでいるだけで頭が疲れる」「ITパスポートは資格として欲しいが実はITにあまり関心がない」といったタイプの人ですと、他の人よりも合格ラインに到達するまでに時間がかかることがあります。
せっかくITパスポートを受験するわけですので、できるだけITに対して興味関心や知的好奇心を持ち、楽しみながら進められると、結果的に勉強時間の短縮にも繋がるでしょう。
ITパスポートは地道な勉強が大事
以上「ITパスポートの試験対策をいつからはじめるべきか」について紹介しました。
ITパスポートは、「情報技術者試験」の中で最も難易度が低いエントリー試験となりますが、それでも勉強をせず、センスや運だけで合格できるような試験では決してありません。
記事内でも解説したように、まったくIT知識がない人であれば約180時間の勉強時間が必要となりますので、スケジュールを立て、地道に勉強する姿勢が大切になります。毎日の学習時間を決め、根気よく勉強を続けていきましょう。