AIなどの新技術の流行により、年々需要が高まりつつあるIT業界。
そんなIT業界で一番に連想される仕事といえばエンジニアでしょう。
しかし、実際に活躍しているのはエンジニアなど技術職だけではありません。
どれだけ最先端の技術ですごい製品ができたとしても、それを顧客に利用されてはじめて価値を提供できたと言えます。
そのため、その製品を売る「営業」という存在も、IT業界において重要な役割を果たしているのです。
IT業界における営業の仕事内容、必要な資格やスキルについて、未経験者の方にも分かりやすく解説していきます。
IT営業とは?
IT営業は、ITに関連するサービスや製品を販売する営業職です。
具体的には以下のような製品やサービスがあります。
・ネットワーク機器
・Webサイト
・MicrosoftOfficeなどのパッケージソフト
・システム開発・運用などの製品・サービス
扱う製品・サービスの専門性がやや高いため、営業力に加えITに関する専門的な知識が求められます。
一方で、顧客へのアプローチから契約完了までの流れや、導入後のアフターフォローまで責任を持ち行い次のビジネスにつなげるという基本的な仕事の流れは、一般的な営業職と同じです。
あらゆる企業でIT化やデジタル化が大きな課題となりつつある中、顧客の課題解決をサポートするIT営業は重宝され、やりがいを得られる仕事と言えます。
IT営業の種類
IT営業の仕事内容は、扱う製品やサービスによって異なります。
ここでは代表的な4つの職種について紹介していきます。
SaaS営業・クラウド営業
SaaSとは「Software as a Service」の略で、クラウドを介して提供するソフトウェアのことです。
身近なものでは、月額制の動画配信サービスや音楽配信サービスなどがSaaSの一種
企業での使用例を挙げると、会計クラウドソフトや人事管理システムなどがSaaSと呼ばれます。
これらを法人・個人に向けて販売することがSaaS営業の仕事となります。
また、SaaS営業(クラウド営業)では他営業に比べ、下記のように役割がより細分化されていることが特徴的です。
インサイドセールス
新規開拓やアポイント獲得を目的とする
フィールドセールス
顧客への提案や新規導入を目的とする
カスタマーサクセス
顧客からのサービス継続利用を目的とする
SaaS営業では、以上のように3つの役割に分かれることで効率を重視した営業手法を採用する企業が多い傾向にあります。
SI営業
SIとは「システムインテグレーション」の略称であり、システム設計・開発などを請け負うサービスのことを指します。また、大規模なシステムを扱うSIerにおいて、営業職は多く採用されています。
SI営業の仕事としては、顧客の課題をヒアリングし、課題に対する解決策を自社のソフトウェアや開発能力に合わせて提案し受注するという流れになります。
形のある製品を扱うハードウェア営業とは対照的で、SI営業は形のないものを顧客に合わせて提案を行う「無形商材」の営業とも言えます。
顧客は、システムそのものに価値を感じるわけではなく、抱えている課題や悩みを解決できることに価値を感じて、そのシステムの購入を検討します。
そのため、営業担当者が顧客と信頼関係を築くことで、いかに顧客の課題や悩みを引き出せるかが重要になるでしょう。
ハードウェア営業
ハードウェア営業は、名前のとおりハードウェア系の商材を扱います。
ハードウェアとは、形のある機械や装置のこと。
具体的には、パソコン、スマートフォン、タブレット、家電、サーバー、ネットワーク機器などです。
ハードウェア業界を代表する企業では、「日立」「SONY」「パナソニック」などがあげられ、これらの企業はハードウェア製品の開発と販売を行い、世界的に知名度が高く高い評価を受けています。
そして、仕事のスタイルとしてはルート営業が多い傾向にあります。
テクニカルサポート・ヘルプデスク
ヘルプデスク・テクニカルサポートは、主にコンピューターのハードウェアやソフトウェアの操作方法などの問い合わせを受けて、技術的なサポートを行う部署や職種のことです。
サポートを行う対象
自社企業の社員または顧客企業の関係者や一般ユーザーなど
具体的な問い合わせ内容
オフィスのIT・ネットワーク環境やPC操作についてや、自社製品のユーザーからの製品に関する質問など
運用中のシステムに関する顧客向けのヘルプデスクもあれば、社員からの問い合わせに対応するために企業で設置されているケースもあります。
主に電話やメールを通して、問い合わせに関する問題点を見つけ出して解決方法をレクチャーしたり、修理や部品交換の手続きを行ったりします。
多くは電話やメールによる遠隔での対応となります。また、基本的にはマニュアルや手順書に沿って対応しますが、ヘルプデスクでは負いきれないことは運用や開発チームに連携することも発生するでしょう。
IT営業に必要な資格やスキル
IT営業を行う上で、求められるスキルや知識について、重要なものから3つ紹介していきます。
ヒアリング力
ヒアリング力は、IT業界に限らず営業にとって必須のスキル。
その中でも、SI営業やSaaS営業となると、顧客の課題を起点にシステム開発やソフトウェア導入などを行うことから、課題を正確に聞き出すことは特に重要です。
課題を正確にヒアリングできていないと、ニーズにあった提案ができなかったり、受注後の設計や開発で再度調整が必要になるなど支障が生まれる場合もあります。
そのため、まずは顧客の立場に立ち、その企業や組織には何が必要なのかを一緒に考えるという視点が必要でしょう。
プレゼンテーション能力
顧客に、いかに優れた提案かを理解してもらうためには、伝え方の影響は非常に大きいです。
「このシステムを導入することで◯◯が便利になる」など、いかに導入後の様子を具体的にイメージしてもらえるかが肝となります。
誰もが分かりやすいよう専門的なことを噛み砕く必要もあり、IT営業にとって伝える力やプレゼンテーション能力は非常に重要なスキルと言えるでしょう。
IT知識や関連資格
ヒアリングや提案をする上では、まず自社製品や開発についての理解や業界の流行の把握などが必要です。
そのためには、ITの基礎知識や自社製品に関連するIT知識が求められます。
エンジニアでなくても、顧客との窓口である営業担当があまり分かっていないと感じさせると、顧客の不安に繋がりかねません。
IT知識をつけておくことで、顧客とのスムーズな会話や適切な提案ができて信頼関係が高まると言えるでしょう。
IT営業に必要なスキルを理解して、転職活動を行おう
ここまで、IT営業の種類・仕事内容や必要なスキルなどについてお伝えしてきました。
IT営業は、扱っている製品・サービスの特徴から、自分自身の提案が顧客のビジネスや事業に大きな影響を与えることが多い職種となります。
また、優れたシステムやサービスを開できたとしても、顧客のニーズがないと購入には至らないため、営業担当者は顧客との架け橋となる貴重な存在といえるでしょう。
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