「IT業界」ってよく聞くけど「具体的にIT業界ってどうなっているの?」と疑問に思ったことはありませんか?
「IT業界」という言葉は広く、ここでいう「IT業界」の中には、複数のビジネスモデルが分類されています。
ビジネスモデルの違いを理解せずに未経験からエンジニアに転職すると、思っていた仕事内容と違うなどのギャップが生じるため、まずはIT業界の全体像を理解することは非常に重要です。
この記事では、IT業界の全体像を紹介し、さらに各ビジネスモデルにおける年収や働き方について解説していきます。
IT業界の全体象
Web業界
アプリ開発
自社で作ったサービスで売り上げを立てている企業のことを指します。
アプリといえば、スマホアプリを一番に思い浮かべるかもしれませんが、ここでいうアプリとは、Webブラウザなどから見れるWebアプリも含まれています。
そういったインターネットを介したサービスを作り上げます。
具体的な企業例でいうと、楽天・メルカリ・LINE・クックパッドなどの有名企業から、あらゆるサービスを世の中に送り出しているさまざまなベンチャー企業などを指します。
自社でより良いサービス開発を行うにあたり、サービス改善のための最新技術への姿勢が積極的であることが特徴です。
常に最新の動向をキャッチアップする必要はありますが、技術に興味がある人には最適の企業です。
Web制作
クライアントから依頼されたサイトを制作し、売り上げを立てている企業のことを指します。
具体的には、HP・ランディングページ・ブログ・採用ページの作成をクライアントに依頼され、要望に沿ったものを作り上げていきます。
また、自社でWebメディアを立ち上げて運営することで売り上げを立てる、メディア事業を行う企業もあります。
Web制作系の企業では、主に、HTML・CSS・Javascriptなどのプログラミング言語や、WordpressなどのCMSを使います。
SIer・システム開発
クライアントからシステム開発・運用・コンサルティングなどを依頼され、売り上げを立てている企業のことを指します。
近年では、業務においてIT機器や業務システムを使用する企業がほとんどです。
一方で、ITに精通したエンジニアが自社内におらず、システムの設計や開発を行えない場合もあります。
そのようなときに、システム開発・運用・コンサルティングまで幅広く専門に行うSIer(エスアイヤー)に依頼します。
業態的にはWeb制作と似ており、業務が被っている部分もありますが、SIerはWeb制作よりもさらに大きなシステムに関わるようなイメージです。
具体的な企業例でいうと、NTTデータ・NEC・伊藤忠テクノソリューションズ・Microsoftなどが挙げられます。
ソフトウェア業界
ソフトウェアの開発、販売、保守、および関連するサービスを提供する企業のことを指します。
ソフトウェアとはコンピューターを動作させるためのプログラムのことです。この説明だけでは、具体的に何なのか?とイメージが沸きにくい方も多いのではないでしょうか。
以下のようなものが、身近なソフトウェアの例になります。
- スマホやパソコンの操作をするために必要なiOSやWindowsのようなOS
- 表計算ソフトや勤怠管理ソフトのような、特定の機能に特化したアプリケーションソフト
また、ソフトウェアと対極になる言葉が、この後に出てくる「ハードウェア」となります。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコンやスマホなど「目に見える」機械を開発、製造、販売する企業の総称となります。
具体的な例としては、パソコンやスマホだけでなく、家電や自動車、医療機器といったさまざまな製品が挙げられます。
また、ハードウェア業界の代表的な企業ではSONY・Panasonic・日立などが挙げられ、昔から日本の経済発展を牽引する存在でしょう。
エンジニアの年収
IT業界の全体像を理解したところで、それぞれの業界における正社員の平均年収を「求人ボックスの給与ナビ」を参考に紹介していきます。
アプリ開発
アプリ開発業界の平均年収は550万円となります。
アプリ開発経験のあるエンジニアは市場価値が高く、業界内での獲得競争が激しい傾向にあります。
そのため、スキルのある人はどんどん年収が上がっていく実力主義の世界です。
「IT×介護」や「IT×教育」のように、その企業が特化している業界が、需要のある業界もしくは今後需要が高まる業界であれば、年収は右肩上がりの傾向にあります。
Web制作
Web制作業界の平均年収は482万円となります。
クライアントからの依頼を受けるクライアントワークがメインなことから、アプリ開発業界の平均年収と比べると少し低くなります。
職種によって年収はさまざまで、デザイナーやコーダーよりも、フロントエンドエンジニアの方が比較的年収は高い傾向にあります。
さらにフロントエンドエンジニア兼デザイナーなど複数のスキルを持っている場合は、市場価値が高く年収が上がりやすいといえます。
WEBプロデューサー、ディレクターなどマネジメントサイドへのキャリアアップを果たすと、さらに年収アップが期待できます。
SIer・SES
SIer・SES業界の平均年収は491万円となります。
ただし、業界特有の多重下請け構造から、所属する企業により年収はさまざまです。
多重下請け構造
発注者(ユーザー企業)から委託された業務が、元請け企業から2次請け企業、そしてさらにその下層へと流れていく構造のこと
必然的に一次請けを行う大手企業が一番利益が大きく、下請けになるほど利益が少なくなります。
業界内でその企業がどの辺に位置しているかにより、年収は大きく変わる傾向にあります。
エンジニアの働き方
エンジニアの働き方について紹介していきます。
エンジニアはスキルが重視され、PC1台あれば働くことができるため、他職種と比べると働き方はさまざまです。
会社員
企業に所属して会社員として勤務します。
多様な働き方の中でも、一番安定性があります。
大手企業やベンチャー企業に限らず、研修が充実している会社が多く、スキルアップやキャリアアップを目指しやすい環境が整っています。
会社に所属していることで人とのつながりも多く、さまざまな情報や経験を手に入れることができるでしょう。
しかし、このつながりによって人間関係で悩む場合も多いので注意が必要です。
派遣
派遣社員としての勤務を選択するエンジニアもいます。
派遣先企業で働くため、同じ企業でずっと働く可能性は低く、さまざまな企業で働くことになります。
派遣社員でいることで多くのプロジェクトに関わることができて、エンジニアとしての技術や知識が多く得られます。
派遣先企業が変わるたびに新しい知識を学ぶことができて、常に新しいことを学習したい意欲のある人にはメリットの多い働き方です。
ただし、気に入った会社で長く勤務を続けたい場合でも、雇用期限に上限があるなど、希望どおりにいかないケースもあります。
副業
エンジニアとしてスキルを身につけることができれば、副業案件の獲得も実現しやすくなります。
副業をすることで、就業先で給与アップを狙うよりも効率良く収入の増加を見込むことができます。
エンジニアが副業を行うもうひとつの大きなメリットとして、エンジニアとしての開発経験やスキル向上につながることが挙げられます。
会社では興味があっても挑戦できなかった開発や、エンジニアとしての開発(実務)経験を積むために、ちょうど良い仕事がピンポイントで見つかる可能性もあります。
フリーランス
企業に属さずに個人事業主として独立するエンジニアも多くいます。
フリーランスのエンジニアは企業のバックアップがないため、仕事を得るために高い技術力が求められます。
働く時間を自身でコントロールできたり、さらにはリモート可能な案件であれば働く場所も自身で選べるため、「働く時間や場所に縛られない」働き方を実現できます。
また、実力次第でどんどん難しい案件をこなすことが可能で、働きに見合った報酬を案件ごとの単価で受け取ることができます。
まとめ
本記事では、IT業界の全体像、エンジニアの年収や働き方について紹介しました。
まずは、業界の全体象を理解し、未経験からエンジニアになる上で、どの業界でどんな働き方が自分自身に合うのかを見極めていきましょう。
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