デジタル機器が普及し、ITによって暮らしが便利になっている昨今、ITエンジニアという職業の重要性はますます高まっています。
多くの求人広告に「エンジニア募集!」の文字が躍るなか、しばしば見かけるのが「契約社員」の募集。
「契約社員といっても社員だし、別に不都合ないでしょ」と安易に契約してしまうと、あとで後悔するかもしれません。
実はITエンジニアにとって、契約社員という働き方はデメリットだらけ!
正直、おすすめできません。
この記事では、ITエンジニアが契約社員になると具体的にどんなデメリットがあるのか、詳しく解説していきます。
ITエンジニアの働き方は3種類
「ITエンジニア」と言っても、仕事内容も働き方もさまざま。
ITエンジニアとして働くなら「自分はどのように働きたいか?」をしっかりと検討したうえで決定する必要があります。
ITエンジニアとしての働き方は、大きく分けて3種類あります。
正社員
正社員として、企業に就職して働く方法です。
近年ではリモートワークが普及しつつありますが、一般的には出社して働く形になります。
自社で働くほかに、クライアント企業などに常駐して働く形態もあります。
長期雇用が前提、社会保険(厚生年金や健康保険など)に加入できる、身分が安定しているなど多くのメリットがありますが、時間や場所などの柔軟性が低いのがデメリットです。
契約社員
正社員に準ずる被雇用者として、企業で働く方法です。
企業と雇用関係にあり、条件を満たせば社会保険も適用されます。
正社員との大きな違いは、有期雇用であるという点です。
契約期限を更新しなければ雇用関係は終了となるため、長期間は働けないシステムになっています。
正社員と比べて採用のハードルが低いので、未経験の職種であっても採用されやすい傾向があります。
「一定期間だけ働きたい」「ひとつの会社に捉われずに働きたい」と考える人に適している働き方です。
フリーランス
企業に属さず、個人で仕事を請け負う方法です。
契約社員と異なり企業との雇用関係がないので、社会保険などは受けられません。
案件探しから金額交渉、契約期限に至るまですべての過程を自分で行う必要があり、交渉力や営業力が必要になります。
交渉によっては正社員より高額報酬を期待できるので、コミュニケーション力に自信がある人に適しています。
ITエンジニアが契約社員は避けたほうがいい4つの理由
学校教育でプログラミングが義務化され、子どもの「なりたい職業ランキング」で上位にランクインするほど注目度が高いITエンジニア。
実際に働くとしたら「契約社員」がおすすめできない理由は、4つあります。
正社員の雇用がたくさんある
今や飛ぶ鳥落とす勢いのITエンジニアですが、その実情は人材不足という大きな問題を抱えています。
2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、日本では2030年に79万人ものIT人材が不足する可能性があるとの試算が出ています。
IT需要が高まっているにもかかわらず、労働人口は年々減少しており、需要と供給のバランスが著しく崩れている状態です。
そのためエンジニア業界では慢性的に人材不足のため、ITエンジニア業界の求人は「超」がつくほどの売り手市場です。
2021年7月時点でのIT・通信業界の求人倍率は6.82倍となっています。(doda「転職求人倍率レポート(2021年7月)」)
ちなみに、金融が1.59倍、メディカルが2.23倍、小売・外食業界が0.67倍です。
ITエンジニアの求人倍率は新型コロナウイルス禍の世界的不況にあっても高い水準を維持しており、このような上昇傾向は今後しばらく続くことが予想されます。
IT需要の高まりと人材不足の追い風を受け、ITエンジニアは「不況にも強い職業」として確固たる地位を確立したと言えます。
正社員エンジニアの求人が世の中に溢れています。選ばなければ、働き口はたくさんあります。
そのような状況で、あえて制約のある「契約社員」を選ぶメリットがあるでしょうか?
雇用期間、社会保障やその他の待遇を考えても、契約社員を選ぶなら別の会社で正社員を目指すべきなのです。
フリーランスの仕事もたくさんある
感染症対策の一環としてリモートワークの導入が進むなか、「フリーランス」(兼業・副業も含む)という自由度の高い働き方が見直されつつあります。
企業のDX推進の流れを受け、以下のような大手クライドソーシングサービスの動きも活発化しています。
・クラウドワークス
・ランサーズ
・ビザスク
・ココナラ など
今や日本でも当たり前となった、フリーランスという働き方。
その人口は2021年10月時点で約1,577万人、市場規模は約23兆円にものぼります。(ランサーズ「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」による)
クラウドソーシング市場が活況なことに加え、コロナ禍により業務がオンライン化し、会社に属することなく働ける環境が整った影響が大きいでしょう。
ITエンジニアとして、会社に属すことなく働きたいと考えるなら、契約社員よりフリーランスという働き方を選んだほうが賢明です。
会社の保証がないので、すべてを自己責任で行う必要がありますが、収入や仕事の自由度は格段に上がります。
近年ではフリーランスのための保険も販売されるようになり、かつてほどハイリスクな働き方ではなくなっています。
責任感が身につかない
どんなに能力があっても、いつかいなくなってしまう人には責任ある仕事を任せられません。
ITエンジニアの働き方はさまざまですが、契約社員は正社員のサポート的な業務をすることが多く、仕事のやりがいという意味では魅力が低いと言えます。
業務で責任を取らなくてよいという気楽さはメリットとも取れますが、ITエンジニアとして成長するためには、現場で責任を持って働く経験が大切です。
「責任感」という重要なスキルが得られないのは、契約社員のデメリットです。
正社員より収入が低い
契約社員でも正社員と同等の業務を任されるケースもあります。
しかし、仕事内容は同じなのに給料が全然違ったり残業代が出なかったり、以下のように待遇に大きな差があることもしばしばあります。
・福利厚生が違う
・住宅手当や家族手当が出ない
・ボーナスが出ない
・退職金が出ない など
契約社員と正社員を隔てる壁は、意外と高いのです。
不公平に感じれば感じるほどモチベーションが下がり、悪循環に陥ります。
契約社員はどうしても正社員より格下の扱いになるので、収入面でもあまり良いことはないでしょう。
契約社員で働くメリットもある?
ここまでで、契約社員のデメリットをお伝えしてきましたが、今は契約社員という選択肢しかないというケースも起こりえるかと思います。
そんな方に向けて、契約社員であるからこそのメリットも併せて紹介していきます。
正社員ならではの縛りがない
正社員だと、異動・転勤・出張を命じられることもあります。また、会社都合での休日出勤や残業も基本的には発生するものです。
一方で、契約社員は契約時に勤務時間や勤務地などについて定めがあるため、住み慣れた土地でワークライフバランスを保ちながら生活を送ることができるでしょう。
自身の業務に集中することができる
雇い主は、契約社員に対して、基本的に契約を結んだときに決めた業務以外の業務を依頼することはできません。
そのため、正社員のように後輩の教育やチームのマネジメント業務、社内の煩雑な手続きなどを行うことはなく、自分の業務に集中できます。
業務の品質向上やスキルアップを目指せる点が、契約社員でいるメリットの1つといえるでしょう。
まとめ:契約社員以外の働き方を探そう
今回は、ITエンジニアとして働くなら、契約社員は避けるべき理由と数少ないメリットについて解説しました。
世の中にはさまざまな職業がありますが、ITエンジニアは今や花形職業と言っても過言ではない人気職です。
ITエンジニアとして成長したいのであれば、仕事面でも収入面でも中途半端な契約社員で満足してはいけません。
さまざまな働き方が選べるからこそ、より高いスキルや高い収入を目指して努力すべきです。
自分のスキルとライフプランを見つめ直し、よりよい働き方を探してみて下さい。
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