IT業界は悪い噂も多い業界です。「IT業界だけはやめておけ」、「とても人に勧められない業界だ」など、この業界に進むことを否定する人もいます。
IT業界のどういった部分が原因でそのような悪評が出てくるのでしょう。
今回は、IT業界はやめておけといわれる理由や原因について解説します。
IT業界はやめておけといわれる理由
IT業界には、業界特有の大変な部分、苦労する部分もあります。
IT業界は「やめておけ」といわれる理由として、主に以下のようなものがあげられます。
- 残業や休日出勤が多い
- ピラミッド型の業界構造
- 年齢が若い業界であるため
- 移り変わりの早い業界であるため
- 顧客先常駐の大変さ
以降でそれぞれについて、さらに詳しく解説します。
残業や休日出勤が多い
IT業界は、残業や休日出勤の多い業界です。「納期」や「リリース日」がある関係上、ここぞという時には残業をしてでもやり遂げなければならない場面もあり、繁盛期には、毎日のように終電帰りが続く開発現場もあります。
また、システム構築作業や保守メンテナンス作業などは、業務サービスが動いていない夜中や土日に行うことが多く、休日出勤をして対応にあたることもあります。
さらにシステム障害が発生した場合には、定時後や休みの日であっても、問答無用で対応にあたることもあります。
仕事に降り回され、プライベートな予定が潰されることもあり、「家庭や子供との時間を重視したいのであればやめた方がいい」といわれることもあります。
ピラミッド型の業界構造
IT業界は、建築業界などと同じように、業界の構造はピラミッド型です。
いわゆる「下請け構造」や「多重構造」とも呼ばれ、元請け・下請け・孫請けのように、序列のようなものが存在します。
一般的には下請けになるほど、労働環境が厳しくなることが多いです。請負っている立場上、無理難題をいわれても対応しなければならないこともあります。そのため、「下請けのIT会社に行くのはやめておけ」といわれる事も少なくありません。
ただしIT業界にはさまざまな会社があり、すべてがこの話に該当するわけではありません。たとえば自社単独でソフトウェアを開発する会社であれば、ピラミッドから外れているため、この手の苦労とは無縁であることもあります。
年齢が若い業界であるため
IT業界の平均年齢は38歳前後といわれています。総合商社、建設業、飲食業などの平均年齢は41歳前後のため、他の業界から比べると平均年齢はやや低めといえます。
とくにベンチャーやスタートアップのIT企業、Web系のIT企業などは平均年齢が低い会社が目立ち、社員の大半が20代30代で構成される企業もあります。
そのため、年齢をある程度重ねた人が転職すると、職場に馴染みにくい、繁盛期の長時間残業に体力的についていけないことなどもあり、「若くないならIT業界はやめておけ」といわれることもあります。
ただし、IT業界も誕生からだいぶ時間が経過し、最近は業界全体が成熟してきてもいます。特にSler系の企業では平均年齢が上昇しており、40代50代以上のエンジニアが活躍する姿も珍しくはなくなってきました。
移り変わりの早い業界であるため
IT業界はスピード感があり、移り変わりの激しい業界でもあります。
技術のトレンドは変わり、続々と新しいものが登場します。エンジニアとして活躍するためには、常に技術の動向を追い、知識をアップデートしていかなければなりません。
さらに将来的には、技術そのものが人の仕事を奪い、AIやロボットがエンジニアの仕事の一部を担うともいわれていますので、差別化を図るためのスキルも必要になります。
そのように移り変わりが激しく、生存競争の激しい環境であり、20年後30年後もエンジニアとして活躍するためには、立ち止まらず常に学んでいく姿勢が必要です。そのため「目先のことだけ考えてIT業界を目指すのはやめた方がいい」といわれることもあります。
顧客先常駐の大変さ
IT業界では、顧客先常駐の働き方をすることもあります。特にSES(システムエンジニアリングサービス)やエンジニア派遣を主事業としている会社であれば、顧客先常駐となることも多いでしょう。
顧客先常駐とは、自分の会社ではなく顧客先のオフィスに席を設けてもらい、常にそこで働く形式です。一般的に直行直帰となります。
顧客先常駐の働き方が自分に合っているという人もいますが、常に顧客と近い環境であるためプレッシャーも大きく、また自社と疎遠になり孤独感を抱く人もおり、顧客先常駐に対して悪い印象を持っている人も少なくありません。
IT業界には良い面やメリットもある
「やめておけ」と悪くいわれることもあるIT業界ですが、この業界ならではのよい部分もあり、人によってはIT業界の仕事が天職となることもあります。
IT業界で働くメリット
IT業界で働くことのメリットとしては、次のようなものがあげられます。
・技術やスキルさえ磨けば、キャリアアップを有利に進めやすい
・皆で一つのシステムを作り上げることの達成感、チームプレイが味わえる
・給料水準は一般平均よりやや高め
・勤務時間や服装などは自由でラフな職場が多い
・将来性もあり、人手不足でもあるため、売り手市場の業界である
など
実際、この業界が合っており、この業界以外は考えられないという人もいます。
たとえば、ITエンジニアは技術が武器となるため、ITやテクノロジーへの興味関心が高く、新しい知識を学ぶことが好きなタイプの人であれば、仕事を仕事とも感じず、IT業界はうってつけの環境になることもあります。技術やスキルも自然と身に付いていくでしょう。
チームを組み、周囲と協力しながら進めていく、IT業界の仕事のやり方が好きであるため、多少の残業や休日出勤があっても頑張れるという人もいます。
IT業界は、向き不向きが分かれやすい業界でもあり、この業界に向いているタイプの人であれば、同じ仕事でも満足度が高まりやすいのです。
IT業界に向いているのは?
IT業界は、以下のようなタイプの人が向いています。
- 知的好奇心が高い
- 成長意欲が高い
- モノづくりやクリエイティブな作業が好き
- ITやテクノロジー、新しいモノが好き
- コミュニケーション力が高い
- 多くの人と協力して物事に取り組むのが好き
- 変化の早い環境、臨機応変に対応する環境に身を起きたい
- 生産性を意識できる など
アドバイザーに相談することも大切
IT業界への転職を成功させるためには、一人で悩むのではなく、その道のプロであるアドバイザーに相談することも大切です。
ここではアドバイザーに相談することの意味やメリットについて解説します。
会社や仕事選びをサポート
IT業界には大小さまざまな会社があり、それぞれで事業内容、業務内容、仕事の進め方などが異なります。
たとえば上流設計をメインとする会社と、保守や運用をメインとする会社では、社員の仕事内容も大きく変わってきます。
また、企業風土、社内の雰囲気、勤めている人のタイプなども会社によって個性が分かれますので、自分と合っていない会社を選んでしまうと、後々苦労することもあります。
アドバイザーは、当人の希望、適性、価値観、性格などを踏まえ、無数の求人情報の中から、その人に合った会社を提案してくれます。外からではわかりにくい社内の雰囲気などの内部情報を提供してもらえることもあります。
悩みや疑問の相談にも乗ってくれる
「自分は本当にIT業界に向いているのか」「IT業界に転職後、どのようなキャリアを歩んでいけばよいか」など、未経験からIT業界に進もうとしている人であれば、さまざまな悩みや疑問点があるでしょう。
アドバイザーは、その道のプロとして、未経験者の抱えている悩みの相談やアドバイスも行ってくれます。
一人だけで考えると偏った見解となってしまうこともあるため、客観性を取り入れるという意味でも、アドバイザーに相談する価値はあります。
自分に合った会社を選ぼう
以上のように、IT業界は「やめておけ」といわれることもありますが、すべての人にそれが該当するわけではありません。実際、IT業界の仕事にやりがいを見い出し、充実した日々をおくっている人も大勢います。
焦点となるのは、「自分がIT業界に合っているか」「IT業界でどのように働きたいか」「それに合った会社や仕事を見つけられるか」の部分です。
そのためには、自己分析により自分をよく知ること、また業界研究や企業研究によりIT業界についての理解を深めることも大切です。あわせてアドバイザーや口コミなどの情報も参考にし、視野を広げることも意識したいところです。