ITエンジニアの仕事は、業界特有の能力が求められる職種でもあります。向き不向きも出やすく、能力や適性の一致しない人ですと長く続けられないことも。
今回はITエンジニアとして求められる能力を、「基礎的な能力」「技術力」「ヒューマンスキル」の3つの分野にわけて解説します。
未経験からITエンジニアを目指す方で能力面で不安がある方は、ぜひご覧ください。
ITエンジニアとして求められる能力:基礎編
まずは、ITエンジニアとして働く上でベースとなる、基礎的な能力や潜在的な適性について紹介します。
知的好奇心がある
ITエンジニアといっても、プログラマー、システムエンジニア、WEBエンジニアなどさまざまな種類がありますが、いずれの職種においても共通するのは、ITや技術に対しての興味関心、すなわち「知的好奇心」が重要になるということです。
IT技術は日々進化しているため、ITエンジニアとして働く上では常に新しい技術を学んでいく必要があります。したがって最新のトレンドに関心をもち、指示されてではなく自発的に学んでいく能力が問われます。
ITマニアといわれるほど熱心な興味関心は不要ですが、ある程度はITやテクノロジーに関心はあったほうがよいでしょう。自分の扱う技術などに興味が持てないと、業界や職場に溶け込めなくなったり、エンジニアとして上手く成長できないことがあります。
集団の中で動ける
ITエンジニアは、プロジェクトやチームを立ち上げ、集団でシステム開発を行うのが通例です。とくに官庁や大手企業向けの大規模案件となれば、何百人体制のプロジェクトを組むことも多く、そのような大きな集団の一人として働くことになります。
プロジェクトに参加しているたくさんのエンジニアたちと、打合せを繰り返し、帳尻を合わせながら進めていくことになるため、個人プレイではなく、集団の中で上手く立ち回れる能力が問われます。
またその時々のプロジェクトの状況により、とっさの仕事が生じたり、急な対応を依頼されることもあるため、マルチタスクがこなせる人、臨機応変に立ち回れる人が向いています。
正確で丁寧な対応
たとえばプログラムがたった1行間違っているだけで、システム全体が動かなくなることもあります。サーバーの設定値がわずかに誤っているだけで大きなトラブルに繋がることもあります。
そのようにITエンジニアの仕事は、細かな部分まで正確、丁寧に対応する必要がありますので、大雑把な人や細かな作業が苦手な人には不向きです。
ITエンジニアとして求められる能力:技術力編
ITエンジニアはエンジニアである以上「技術力」が必要不可欠です。ここではITエンジニアとして求められる技術力の事情について解説します。
求められる技術力
まず、求められる技術力というのはITエンジニアの「職種」によって異なります。
プログラマー:
プログラミングスキル(Java、C言語、Ruby、Pythonなど)
システムエンジニア、インフラエンジニアなど(システム系):
OS、サーバー、ネットワーク、データベース、セキュリティなどのIT知識
Webプログラマー、Webデザイナーなど(Web系):
HTML/CSS、PHP、Webマーケティング知識など
プログラマーであれば、プログラミングスキルは必須です。さらにいえばプログラミング言語にはたくさんの種類があり、開発案件によって扱う言語も異なります。たとえば「Java」は企業向けの業務システム開発や組み込みシステム開発で使われることが多く、「Ruby」はスマホアプリ開発などで使われることが多いです。
システムエンジニアやインフラエンジニアの場合は、システム設計やシステム構築が主な業務となるため、OSやサーバーなどシステム周りの技術知識が求められます。一方でプログラミングスキルはあまり必要とされません。
WebプログラマーやWebデザイナー等のWeb系エンジニアの場合、ベースとしてHTML/CSS、PHPの理解が求められます。
このようにITエンジニアといっても、その職種によって求められる技術力や技術知識が異なります。どれでもよいというのではなく、自分の目指す職種に合った技術力を身に着けていくことが大切です。
PCの操作スキル
ITエンジニアは設計書作成や会議資料作成等で、日頃からPCを使う機会も多いです。そのため、以下のようなPCの基本的な操作スキルも必要になります。
- ファイル圧縮やアクセス権限の変更など、基本的なOS操作のスキル
- Word、Excel、PowerPointなどオフィスソフトの基本的な操作スキル
- メールやドキュメントにおける基本的な文章作成能力
- ブラインドタッチを駆使したスムーズなタイピング力 など
未経験であれば技術力はシビアには見られない
ITエンジニアの仕事は技術力が問われますが、未経験採用であれば入社段階での技術力はさほど厳しく問われません。まったくIT系の知識や技術が無い人が採用されることもあります。
ITエンジニアはエンジニアではあるものの、機械系エンジニアや製造系エンジニアのように、ベースとして数学などの理系知識が必要になるわけでもありません。
そのため、なんの知識も持たずに飛び込むことも可能ですが、入社後は覚えることが無数にあるため、ハードな日々になる恐れがあります。後々苦労しないためにも、可能であれば入社前から自主的に技術知識を学んでおいたほうがよいでしょう。
ITエンジニアとして求められる能力:ヒューマンスキル編
ITエンジニアとして働く上では、技術力だけでなく、コミュニケーション力やマネジメント力といった「ヒューマンスキル」も求められます。とくに経験を重ね「上流工程」の仕事を担当するようになれば、この手のスキルが重要になってきます。
コミュニケーション力
ITエンジニアとして求められるコミュニケーション力のポイントは以下です。
- クライアントなどの要望を的確にヒアリングし汲み取る
- 抱えている課題などを整理し的確に伝える、提案する
- 周囲のメンバーとの意思疎通を怠らず、円滑に情報共有する など
お客様や周囲のメンバーと仲良くなり溶け込むことも大切ですが、それだけでなく、相手の要望を的確に把握し、自分の意見を的確に伝えるコミュニケーション力が問われます。
論理的思考力(ロジカルシンキング)
ITエンジニアの仕事では、物事に筋道を立てて考える論理的思考力が必要不可欠です。
論理的思考ができないと、プログラムもうまく作れませんし、サーバーの設計なども難しくなります。会議の打合せにおいても、上手く意思疎通できず、話の流れを悪い方向に向けてしまうこともあります。
論理的思考力は実践や本を読んで身に着けることもできますので、足りないと感じている方は自主的に学ぶことも大切です。
マネジメント力、リーダーシップ
ITエンジニアは経験年数を重ねると、現場のエンジニアを卒業し、他のエンジニアたちをまとめるチームリーダーやプロジェクトマネージャーにステップアップしていくケースが多いです。
マネジメントのポジションになると、配下のエンジニアのスケジュール管理、課題管理、勤怠管理など、さまざまな管理業務を行うことになります。複数の仕事を管理、指示する立場となりますので、自分の仕事だけでなく、周囲の状況を的確に把握する力が求められます。
また人間性の面でも、周囲を鼓舞し、牽引するリーダーシップ力が求められます。
多くの能力は後からでも身に着けられる
以上、ITエンジニアとして求められる能力について紹介しました。
ITエンジニアという職業は人を選ぶところもあり、能力や適性が一致しない人ですと、上手く活躍できないこともあります。とはいっても今回紹介した能力をすべてパーフェクトに備えている必要はありません。
また今回紹介した能力の多くは、先天的なものではなく、意図的に身に着けられるものでもあります。とくに技術力、コミュニケーション力、論理的思考力、マネジメント力などは、もともとの素質だけでなく、鍛錬を重ね後天的に身に着けていくものでもあります。
最初は未熟だった人が、働きながらトライ&エラーを繰り返すうちに、いつのまにか能力を身に着けていることもあるのです。