IT系のエンジニアには独特の大変さがあります。
未経験から就職となると、負担は大きくなりがちです。
未経験エンジニアの中には、「辞めたい」、「辛くてついていけない」などの理由で、すぐ退職してしまう人がいることも事実です。
未経験エンジニアが「辞めたい」と感じるその理由はどこからくるのでしょうか。
未経験からITエンジニアになった人の実態を、IT業界の情報も交えて解説していきます。
なぜ未経験エンジニアは「辞めたい」と感じるのか?
システムエンジニアやプログラマーなどのITエンジニア職は、未経験からでも就職可能な専門職です。
しかし、そのような「未経験エンジニア」こそ退職率がたかく、中には入社1か月もしないうちに辞めてしまう人がいることも事実です。
辞めたい理由は人それぞれな部分もありますが、未経験エンジニアが辞めたいと思う理由として、一般的に以下5つがあげられます。
- 覚えることが多くて大変
- コミュニケーションが苦手でチームに馴染めない
- プライベートな時間がつくりにくい
- 客先常駐がつらい
- 自分に合ってない(適性がない)
IT業界未経験者の中には、ITエンジニアに対して、「スマート」で「近代的」なイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし実際には、人間関係を築くコミュニケーション能力が必要であったり、システム納期前は汗水たらして残業をしなければならなかったりと、泥臭い側面もあります。
入社前のイメージと入社後の仕事環境に「ギャップ」を感じ、打ちのめされて辞めていくパターンが、未経験エンジニアには多い傾向があります。
未経験エンジニアの辞めたい理由5つを分析
前述したように、未経験エンジニアの辞めたい理由は主に5つあります。
この5つの理由について、さらに深堀し、なぜ「辞めたい」感情が生まれるに至るかを解説していきます。
理由1:覚えることが多くて大変
ITエンジニアとして働くには、たくさんのことを覚える必要があります。その量も莫大であり、学びの日々が続きます。
具体的には、以下のような幅広いIT知識が必要になります。
- サーバー
- データベース
- OS、ミドルウェア
- ネットワーク技術
- セキュリティ
- プログラミング(ただしシステムエンジニアなどは必須ではない)
- など
未経験エンジニアの場合、これらたくさんの知識を働きながら覚えていくことになるため、最初は特にハードな日々となりやすいです。
たとえば、「このサーバーはFTPサーバーです」、「データベースはオラクルデータベースを使用しています」のような、IT業界では一般的な会話であっても、未経験者の場合は暗号のように感じ、その時点で辞めたいと感じてしまう人もいるかもしれません。
また、IT技術というのは日々進化していますので、新人のうちだけ勉強すればいいわけではありません。
エンジニアとして働く以上、5年後、10年後、ベテランエンジニアとなった後も、新たな技術を追い続け、ずっと新しい知識を覚えていかなければなりません。
そのような終わりのない学びの日々に耐えられず、辞めてしまう人もいます。
理由2:コミュニケーションが苦手でチームに馴染めない
ITエンジニアというと「パソコンとにらみ合う仕事」、「人とはあまり関わらず、一匹狼のように黙々とはたらく仕事」などのイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。
もちろん、仕様書を作成したり、プログラムを作成したり、パソコンとにらみ合う時間も少なくはありません。
しかし、それと同じくらい、チームメンバーやクライアントとの会議や打合せなどをする機会も多く、コミュニケーション能力や交渉力なども必要不可欠な仕事です。
とくに、サブリーダーなどに抜擢され、チーム内でのポジションが上がれば上がるほど、机上の仕事よりも、会議などに出席する時間のほうが多くなっていきます。
また、基本的にはチームを組んで動くことになりますので、同じメンバーたちと同じフロアで日々顔を合わせて働くことになります。
そのため、コミュニケーション能力に自信がなかったり、人と関わるのが苦手な人の場合、環境そのものが苦痛となってしまい、「辞めたい」と感じてしまうこともあります。
理由3:プライベートな時間がつくりにくい
IT業界は、他業界から比べると「残業量」の多い業界です。
大きなプロジェクトを組み、納期やマイルストーン(中間目標地点)などを定め、皆でスケジュールを意識しながら動いていくことになるため、各々が納期を守ることは必須です。
そのため、開発が予定より遅れていたりすれば、他のチームに迷惑をかけないためにも、納期間近などは残業や徹夜などをしてまで作業をすることもあります。
また、システムに障害が発生したりすれば、深夜や休日であっても、関係者は早急な出勤が求められ、1分1秒をあらそって回復作業を進めることもあります。
そのため、プライベートな時間が犠牲になることも少なくはなく、長時間残業などが続けば、肉体的、精神的な疲労もたまるため、「辞めたい」と感じてしまうことがあります。
理由4:客先常駐がつらい
「客先常駐」というのは、クライアント(顧客)となる会社のオフィスや外部のプロジェクトルームに自分の席を設けてもらい、そちらに直行直帰する働き方です。
社内開発ではなく、システム開発を外注する会社のエンジニアは、こういった働き方となることが多いです。
職場が自分の会社ではなくなるため、よくもわるくも緊張感などを感じやすい環境となります。
クライアントとも近いため、相性の悪いクライアントの場合、ストレスとなる可能性もあります。
また、自分の会社に戻ることが少なくなるため、社内の同僚、上司、先輩後輩などとの関係も希薄になりやすく、孤独感を感じる人もいます。
同時に、自分の会社への愛着心なども薄れやすいため、それが会社を辞めるきっかけとなることもあります。
理由5:そもそも自分に合ってない、適性がない
ITエンジニアは、「向き不向き」や「適性」が問われる仕事でもあります。
たとえば、システムエンジニアにしてもプログラマーにしても、ITエンジニアである以上は「論理的思考力」が必要不可欠です。
そのため「論理的に考えるのが苦手」、「芸術肌で直感的に考える方が性に合っている」といったタイプの人の場合、日々の仕事で苦痛を感じることも多くなります。
ほかにも「じっとしてるのが苦手で長時間のデスクワークは苦痛」、「データや数字を扱うのが苦手」といったタイプの人も、適性的に合っていません。
もちろん、適性がないからといって、ITエンジニアとして働けないというわけではありません。
しかし、適性のある人に比べると、同じ仕事をするにしても負担が大きくストレスも感じやすい傾向があります。
そのようなストレスが日々積み重なった結果、「辞めたい」という感情が固まることもあります。
入社後の「辞めたい」感情を減らすためにはどうすればいい?
「辞めたい」という感情の大小は、入社前と入社後のイメージの「ギャップ」にも影響されます。
特に、ITエンジニアというのは専門的な仕事であり、外からは仕事内容などが見えにくいため、ただでさえギャップが生じやすい職業です。
それこそ、未経験者がITエンジニアのことをよく調べずに就職してしまうと、さらにギャップは大きくなり、辞めたいという感情に拍車をかけることもあります。
したがって、就職する前にITエンジニアというものを知り、ギャップを埋めておくことが、入社後の「辞めたい」という感情を減らすことにもつながります。
ITエンジニアについて理解を深める方法
ITエンジニアについての理解を深めるためには、転職前にキャリアアドバイザーとしっかりと情報共有を行うことが重要です。
キャリアアドバイザーは「その道のプロ」であり、一人ひとりの適性や個性を見極め、最適な転職先を探し出すのが仕事です。
まずはキャリアアドバイザーと打ち合わせを重ね、未経験エンジニアになった場合のライフスタイルの変化などを事前にシミュレーションするのがおすすめです。
最終的には「なってみないと分からない」ことばかりですが、事前に情報を仕入れておくことはとても重要です。
ITエンジニアの仕事は、人によっては大きなストレスとなることも
どのような仕事であっても、楽しいことばかりではなく、時に「辞めたい」と感じることもあるでしょう。
しかし、「なぜ辞めたいのか」、「やめたくなった原因はなにか」といった問題をひとつひとつ洗い出していくことで、自分にあったキャリアを見つけることができます。
このような思考プロセスも、ITエンジニアには重要です。