ITパスポートは、資格の学校や通信講座で学ぶこともできますが、お金を掛けずに独学で勉強したいという人もいるかと思います。
まったくのIT初心者でも、ITパスポートの試験に独学でチャレンジすることは可能なのでしょうか。
今回は、ITパスポートにおける独学の勉強事情、勉強方法のコツ、独学に向いている人の特徴などを紹介します。
ITパスポートは独学は可能であるか
まずは、ITパスポートの試験において、独学が通用するかについて解説します。
独学は可能
結論からいえば、独学は可能です。
まったくIT知識のゼロの学生、フリーター、IT業界外の社会人などであっても、ITパスポートの試験勉強は独学でチャレンジできるレベルです。
実際、「学部が異なり学生時代にITを学ぶことはなかった」、「仕事でもIT技術に触れることはなかった」という人の中にも独学で勉強している人、合格している人はたくさんいます。
ITに関する専門的な知識や聞きなれない単語なども出題されますが、あくまで基礎的なIT知識です。参考書などでもゼロから解説してくれているため、学ぶ意欲さえあれば、IT初心者であっても独学で挑戦可能なレベルといえます。
具体的な難易度や合格率は?
ITパスポートは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家試験「情報処理技術者試験」の中では、最も難易度の低いスキルレベル1の試験となります。
合格率は、例年おおむね50%前後で推移しています。
ITパスポートは、学生やIT業界外の社会人などの受験者も多い資格です。その上で50%前後の合格率を保っていることから、難易度的にはさほど高くはないといえます。
試験方法も多肢選択式(四肢択一式)であり、記述や論述の問題はないため、初心者向けです。
必要な勉強時間は?
ITパスポートの勉強時間の目安は、100〜180時間程度といわれています。1日2時間程度の勉強時間を確保できる人であれば、2〜3か月が目安となります。
もちろん下地となるIT知識がある人や勉強の得意な人であれば、必要な勉強時間はさらに少なくなるでしょう。
IT知識は少なくても社会人であれば有利
ITパスポートの試験では、ITに関する技術知識だけでなく、「ストラテジ系」の問題も多く出題されます。
ストラテジ系というのは、企業活動、法務、経営戦略、技術戦略、システム戦略のような、ITとビジネスを絡めた分野となります。
したがって、IT技術の知識は乏しくとも、ビジネス面の知識が豊富な社会人であれば、難易度が下がることがあります。
ITパスポートを独学で勉強する上でのコツは?
ITパスポートは独学も可能です。しかし独学の勉強をスムーズに進めるためには、いくつかコツや注意しておきたいポイントがあります。
自分に合った参考書を選ぶ
独学の場合、市販の参考書を使って自分一人で勉強していくことになりますので、参考書選びは重要になります。
ITパスポート向けの参考書は、本によって書き方がさまざまです。子供に説明するように簡単に書いてある本や、イラストや図を多用している本もあれば、小難しく簡潔に説明している本もあります。
どのようなタイプの本がよいかはその人次第になりますので、まずは中身を数ページ程度試し読みした上で、自分が勉強しやすい、頭に入りやすい本を選ぶことが大切です。
また独学の場合、参考書に加え「問題集」も購入しておくことがポイントです。参考書と問題集がワンセットになった本もありますので、そのようなタイプもおすすめです。
インプットだけでなくアウトプットも意識する
独学の進め方として、まずは参考書を読み、IT技術や用語の意味を理解し、知識として蓄えていきます。いわゆる「インプット」の部分です。
その後、問題集で問題を解き、反復的に理解を深めていきます。「アウトプット」の部分です。
ITパスポートの試験は出題範囲が広いため、ただ闇雲にインプットするだけでなく、応用力も重要になります。そのためインプットとアウトプットを意識し、両面から交互に勉強をすることが大切です。
とくに初めてITパスポートを受験する人の場合は、試験の時間配分やペースが掴みにくいところがあります。そのため問題集を解きアウトプットを行っておくことは、試験に慣れる意味でも大事です。
動画などを活用するのもアリ
最近は、ITパスポートの勉強に使えるコンテンツがインターネット上で公開されています。
- 参考書のように用語などを解説してくれるYouTube動画
- 過去問題にトライできるWeb上の出題サイト
- 過去問題を出題するスマホアプリ など
その多くは無料で利用できるため、参考書での勉強に行き詰った場合などには、動画やアプリを併用してみるのもおすすめです。
独学に向いているのはこんな人
独学の勉強には向き、不向きがあります。独学のほうが効率よく進められる人もいれば、独学では上手く進まず、資格の学校や通信講座で学んだほうがよい人もいます。
ここではITパスポートの独学に向いている人の特徴を紹介します。
自分のペースで進めたい人
勉強を進めるにあたって、相手にスケジュールなどを管理されるのではなく、自分のペースで進めていったほうがやりやすい、自分の裁量で進めた方がストレスなくでき成果もでやすいという人もいます。そういった人はITパスポートの勉強も独学が向いています。
反対に、自分でスケジュールを組んで計画的に進めるのが苦手な人であれば、決められたカリキュラムに沿って勉強を進めていける資格の学校や通信講座が向いています。
ひとりでもモチベーションが保てる人
ITパスポートは、数か月単位の勉強が必要になるため、その間モチベーションを保てるかも重要なポイントとなります。
独学は一人での孤独な勉強となりますが、一人でもモチベーションを保ち、目的意識をもって取り組める人であれば独学に向いています。
反対に、周囲に講師や生徒などがいる環境のほうがモチベーションが高まりやすい人であれば、資格の学校や通信講座が向いています。
自分で調べ、自己解決できる人
独学の場合、わからない部分があっても質問する講師などはいません。
ITパスポートで学ぶ内容は、あくまでITの基礎的な部分ではありますが、一般的には聞きなれない技術や用語なども登場します。
そのようなわからない部分に出くわした時に、臆せずに積極的に自分で調べ解決できる人は独学に向いています。ITそのものに関心があり、わからないことを調べるのが楽しいという人も独学向きでしょう。
反対に、少しでも難しい単語や聞きなれない単語が出ると不安に感じやる気を失くしてしまうような人の場合は、サポートしてくれる講師のいる資格の学校や通信講座が向いています。
時間に余裕がある人
ITパスポートの試験は、コンピューターを使ったCBT(Computer Based Testing)方式の試験であり、1年に何度も開催されています。毎回試験料は発生しますが、何回でもチャレンジ可能です。
そのように比較的自由度の高い試験であるため、時間に余裕がある、勉強時間を十分にとれるという人であれば、独学で自分のペースで地道に勉強してみるのもありでしょう。
反対に、「就職前までにITパスポートを取っておきたい」、「仕事もあるので勉強時間が十分取れない」という人であれば、資格の学校や通信講座が向いています。
資格の学校や通信講座は、その道のプロが効率よく勉強できるカリキュラムを組んでおり、脱線もしにくい環境です。したがって、独学で勉強するよりも資格の学校や通信講座に通った方が、短時間で合格ラインの知識を習得できることが多いのです。
独学の経験はITエンジニアの仕事にも活きる
以上のようにITパスポートは、まったくのIT初心者であっても独学でチャレンジすることが可能です。
独学のメリットは何といっても費用が安く済むことであり、掛かる費用は参考書と問題集を合わせても数千円程度です。
また独学をすることで、自分で調べ、考え、解決する力も身に付きます。
ITエンジニアという仕事は、「問題解決力」や「論理的思考力」などが求められる仕事でもあり、実際のシステム開発現場では、難解な課題が生じ、それを自分一人の力で解決しなければならないこともあります。そのため、独学の経験は将来的にITエンジニアとして働く上で役立つこともあるでしょう。
そのように独学で勉強することのメリットは多いため、時間に余裕がある人などであれば、敢えて独学で挑んでみるのもおすすめです。