インフラエンジニアの仕事では「夜勤」が発生することもあります。
特に未経験者、新人、若い人などは夜勤を任される機会も多いです。
夜勤というと「キツイ」「つらい」のイメージもありますが、メリットとなることも。
今回は、インフラエンジニアの夜勤事情や、未経験者が夜勤で働くことのメリット・デメリットなどを解説します。
インフラエンジニアの夜勤のタイプは3つ
インフラエンジニアはオフィスでの日勤が主体です。ただし、担当する業務によっては夜勤が発生することもあります。
また夜勤の場合、働く場所はオフィスではなく、遠く離れたデータセンターなどでの作業になることもあります。
インフラエンジニアで夜勤が発生するのは、主に以下3つの業務です。
- システム構築
- 監視・保守
- 障害対応
以降では、この3つの業務の詳細を紹介します。
システム構築
システム構築のフェーズでは、設計された内容をもとに、サーバーやネットワーク機器などの設置やセットアップを行います。
サーバーやネットワーク機器を設置するのは、都心の企業オフィス内などではなく、基本的には遠隔地のデーターセンターやバックアップセンターなどになりますので、現地に出向いての作業となります。
システム構築の作業は、クライアント企業の業務時間外に行うのが基本です。一般的には、平日の定時後や夜間、もしくは土日祝日での作業となることが多いです。
システム構築のフェーズは延々と続くわけではなく、期間は数週間から長くとも1か月程度です。
つまり、その期間のみのスポット的な夜間作業となり、システム構築のフェーズが終われば、再び日勤に戻ることになります。
監視・保守
稼働中のITシステムは、24時間365日体制で監視を行い、トラブルがないかを見守ります。また、データの配布、日時バックアップなど、定期的な保守作業もシステムを維持する上で必要不可欠です。
このような監視・保守は、24時間体制になるため、交代制やシフト制を採用し、時間帯毎に分担して対応することになります。夜勤シフトとなると、毎日のように夜勤となり、夜型の生活となります。
一般的に、インフラエンジニアの業務の中で夜勤が最も多いのが、この監視・保守の業務です。
監視・保守のチームに配属された場合は、シフト制の生活となることを覚悟しておく必要があります。なお会社によっては夜勤専属のスタッフとして募集していることもあります。
障害対応
稼働中のITシステムに障害が発生した場合、復旧作業を行うのもインフラエンジニアの仕事です。
たとえば携帯電話会社のシステムに障害が発生しダウンすれば、スマホやタブレットなどの通信端末が使えなくなります。それは社会的に大きな混乱を招き、復旧が遅れるほど損害も大きくなります。
したがって、障害対応は1分1秒を争います。日夜関係なく、多くのエンジニアが血眼になって復旧作業にあたることになります。
緊急性の高い障害の場合、徹夜となったり、会社に寝泊りすることになって数日家に帰れないようなこともあります。
インフラエンジニア未経験者は夜勤になることが多い
インフラエンジニアの中でも夜勤を任されることが多いのが、未経験者や新人です。
というのも、前述したシステム構築や監視・保守の作業というのは、システム開発における「下流工程」にあたり、難易度も低めなため、未経験者や新人の登竜門的な仕事となっているためです。
実際に未経験者向けの求人には、システム構築や監視・保守の業務の求人が多く、夜勤を前提とした求人も多いです。
夜勤は体力や気力も必要になります。そのため20代程度の年齢の若い未経験者であれば、夜勤要員に優先されることがより多くなるでしょう。
経験を積むと夜勤は減るのが一般的
インフラエンジニアの場合、まずは下流工程で経験を積んでいきます。そして、いずれは要件定義・基礎設計・詳細設計・プロジェクトマネジメントなどの「上流工程」の仕事にステップアップしていくのが通例です。
上流工程の仕事は、オフィス内での設計作業や打合せなどがメインとなり、現地に出向いての作業というのは少なくなります。したがって夜勤をする機会も減っていきます。
ただし例外もあります。
たとえば大きな障害など発生すると、設計を担当したエンジニア、プロジェクトを指揮するプロジェクトマネージャーやチームリーダー陣にも呼び出しがかかり、夜間であっても皆総出で障害対応にあたることもあります。
夜勤は未経験者にとってメリットにもなる
夜勤というと抵抗を覚える方もいるかもしれませんが、実は夜勤として働くことには、メリットもあります。
ここでは未経験者のインフラエンジニアが夜勤で働くメリットを紹介します。
深夜手当が25%以上つく
夜勤をすると、金銭的な面で明確なメリットがあります。
深夜(22:00~5:00)のあいだに働くと、「深夜手当」が加算され、賃金が通常の25%以上に割増されるためです。
これは労働基準法で定められていることであり、どこの会社で働こうと、どういった業務を担当することになろうと、深夜の勤務であれば25%以上の割増が適用されます。
未経験の新人エンジニアの場合、まだまだ給料は低いことが多く、一人暮らしなどをすれば生活が厳しくなることもあります。しかし夜勤をすれば、深夜手当分で家計をカバーすることができます。
深夜の監視・保守は忙しくない
深夜の監視・保守作業は、あまり忙しくはない業務です。
「トラブルが起きていないかモニターで監視する」、「指定の時間になったら毎日決まった保守作業を行う」といった仕事が中心であり、余裕をもって働ける環境であることが多いです。
待機時間も長くなることが多く、待機中は、IT資格の勉強などができる職場もあります。
ひとたびシステム障害が発生すれば、早急な対応が求められるため忙しくなりますが、問題なく稼働していればのびのびと働けることが多いです。
またシフト制であれば、決められた時間で交代できるため、残業もあまり発生しません。
夜勤の仕事は就職しやすい
夜勤有の求人は、夜勤無の求人に比べて人気は低めです。夜勤では働きたくないという人もいますし、夜勤自体はしたくても時間帯的にできない人もいますので、競争倍率は低いのです。
求人を出してもなかなか埋まらない求人も多く、売り手(求職者)に有利な市場です。
したがって、なかなか就職先が見つからない未経験者であれば、まずは採用されやすい夜勤の仕事でインフラエンジニアとしての経験をつくるのも一つのキャリアルートです。
経験を積めば選択できる道も増えるため、いずれ日勤の仕事に転職する道も描けるようになります。
夜勤にはデメリットもある
夜勤には「辛い」、「ブラックだ」、「身体に悪い」のような負のイメージもあります。実際、夜勤の仕事は良いことばかりではありません。
ここでは、インフラエンジニアが夜勤で働く上でのデメリットを紹介します。
生活リズムがみだれやすい
夜勤となると、日が落ちてから出勤し、朝方に帰宅するという日夜逆転の生活となります。
また職場によっては、「一定期間夜勤をしたら次は一定期間日勤となる」のような変則的な勤務となることもあります。
人間というのは、日夜逆転生活や不規則なリズムの生活を続けると、体調を崩しやすく、身体にもダメージが積もります。
それでも20代の若い身体であれば難なく乗り越えられることが多いですが、30代40代と年齢が高くなるにつれ、身体への負担も大きくなるため、続けるには体調管理や健康管理の徹底が求められます。
キャリアの妨げになることも
前述もしたように、夜間の監視・保守作業などは、さほど忙しくはなく、マニュアル化された定例業務が主体のため、難易度もさほど高くはありません。
のびのびと働ける快適な仕事ともいえますが、定例化された業務だけを続けていると、経験やスキルが伸びず、成長が止まってしまうことがあります。
経験やスキルが武器となるインフラエンジニアとしては、将来的なキャリアアップの妨げになってしまうこともありますので、ある程度の期間働いたら、転職などを考える必要もあるでしょう。
プライベートが犠牲になる
夜勤シフトになれば、何週間、何か月と夜型生活となることもあります。
日中でないと行えないようなレジャーなどはできなくなり、家族や恋人などとも生活時間があわず、すれ違いとなることもあります。
夜勤にはメリットデメリット両面がある!手段として活用しよう
以上のようにインフラエンジニアの仕事では夜勤が発生することがあり、また夜勤にはメリット、デメリットの両面があります。
未経験者にとって夜勤の仕事は、インフラエンジニアとしてのキャリアの足がかりとして使えることもあります。しかしそのまま夜勤だけを続けていると、身体にとっても、キャリアにとってもリスクとなってしまうことも。
夜勤は働き方の一つであり、あくまで手段です。自分にとってプラスになるように活用するのがよいでしょう。