プログラミングは、初心者であっても独学で習得することができます。近年は無料で利用できる学習サイトや動画なども充実し、独学がしやすい環境も整っています。
しかしプログラミングは、まったくの初心者ですと何から手を付けて良いかわからないことも多く、最初の入口で混乱してしまうこともあります。
そこで今回は、プログラミングを独学で進める場合における、最初の進め方について順を追って解説します。これからプログラミングを一から始めようと考えている方はぜひご参考ください。
ステップ1:プログラミングについて知ろう
初心者が独学する上では、まず「プログラミング」というものについてイメージをクリアにしておく必要があります。
プログラミングとは、簡単にいえばコンピュータに「指示」を与える「命令」のかたまりです。コンピュータは高性能な処理が行えますが、自らがゼロから考えることはできないため、指示を与える必要があります。
そしてコンピュータは人の言葉は理解できないため、指示を出すためには機械用の言語を使う必要があります。それが「プログラミング言語」と呼ばれるものです。
プログラミングを行い、コンピュータに対して「そのように動作してくれ」と指示を出すことにより成り立っています。
ステップ2:必要な環境を用意する
プログラミングを独学する上で、必ず用意しなければならないのは、以下2つです。
- パソコン
- インターネット環境
まずはプログラミング作業を行うパソコン本体が必要です。最近はタブレットやスマホでプログラミングを行うこともできますが、しっかりと学ぶ上での定番はパソコンです。
スペックについては、「CPUはCore i5 以上」、「OSはApple製品向けのアプリ開発ならMac、ゲーム開発ならWindow」などといわれることが多いです。
たとえばApple製品向けアプリの開発では「Xcode」というMac専用の開発環境を使うのが一般的です。
ただし、電卓のような簡単な機能をプログラミングするだけであれば、何十年も前の低性能パソコンでも作れ、OSがWindowとMacどちらかもあまり関係ありません。必要スペックは何を作るかによっても変わってきます。
インターネット環境は、WEB上での調べもの、学習動画の観覧、学習サイトの利用などにおいて必要になります。ただしプログラミング自体はオフラインで組み、オフラインで動作させることもできます。そのため書籍などみながらオフラインで学習する場合は、インターネット環境は必ずしも求められるわけではありません。
ステップ3:目標を定める
プログラミングの学習は、学校の試験勉強のように範囲が明確化されているわけではありません。プログラミングに関する知識は無数にあり、これだけ覚えればマスターできるというわけではなく、いってみれば終わりがありません。
したがってプログラミングの勉強を始める前に、今回の勉強でどこまでできるようにするかの「目標」を自分で決めておくと、その後の進行もスムーズになります。
効果的なのは、作るものをイメージし、「これを作りたい」という目標を立てることです。
たとえば「電卓のアプリケーションを自分で作ってみたい」、「簡単なゲームを作ってみたい」などを目標とすると、それを動作するためにはどのようにプログラミングすればよいか、どのような知識が必要になるか、と逆算的に考えていけますので、脱線せず、必要な知識を効率的に習得していくことができます。
プログラミングというのは、あくまで「手段」でありますので、プログラミングができるようになりたいではなく、プログラミングでなにをしたいかのほうに焦点を当てることが大切です。
ステップ4:プログラミング言語を選ぶ
プログラミングで使う「プログラミング言語」は、最初にどれを学ばなければならないという決まりはありません。自分の望む言語を選択していく形となります。
プログラミング言語は何十種類もありますが、代表的なプログラミング言語をいくつか紹介します。
Python:
初心者にも扱いやすいシンプルな文法。AI開発、Webアプリ開発まで幅広い分野で利用される言語
Ruby:
Webアプリ開発、APIの作成、スマホアプリ開発でよく使われる。日本で開発されたプログラミング言語のため日本語のリファレンスが豊富
Javascript:
Web系に強いプログラミング言語。さほど難易度は高くなく、初心者向け
PHP:
Webサイト、Webサービス、Webアプリ向けのプログラミング言語。HTML/CSSとセットで覚える
Java:
汎用性の高いプログラミング言語。初心者向けでもあるが、やや癖もあるため、習得に苦労することもあり
C言語:
1970年代からある歴史の長いプログラミング言語。業務システム開発、組み込みシステム開発では定番。難易度は高め
「Python」「Ruby」「Javascript」などは初心者向けといわれており、開発できる分野も広めです。「C」は難易度が高めですが歴史の古い言語となるため、プログラミング言語の真髄に触れることができます。
作りたいサービスやアプリ、将来就きたい就職先によっても、求められるプログラミング言語は変わってくるため、こちらも最終的な目標を定め、逆算的にどのプログラミング言語が自分に必要かを考えてみることも大切です。
ステップ5:基礎知識を身に着ける
プログラミングにも、根底となる基礎知識というものがあります。
たとえば、そのプログラミング言語の基礎文法、変数、条件分岐、ループ処理などの部分は基礎中の基礎であり、まずはそういった基礎の部分を固めることから始めていきます。
基礎知識を学ぶ方法としては、以下のような手段があります。
・市販の書籍
・WEB上の解説サイト
・YouTubeの解説動画
・学習サイトを利用(ドットインストールやProgateなど)
など
紙の本での勉強に慣れている方は、書店で販売されている市販のプログラミング本を使って学ぶのもおすすめです。WEB上の解説サイトやYouTubeの解説動画は、大半は無料で利用できます。
「ドットインストール」や「Progate」などの学習サイトは、要点がまとめられており、スムーズに学ぶことができます。独学とプログラミングスクールの中間的な位置づけとなるコンテンツです。最初の基礎的な部分であれば無料で利用できます。
ステップ6:実践する
プログラミングは机上の知識を学ぶだけでなく、実際にプログラミングを組んで動かし、トライ&エラーを繰り返しながら習得していきます。
プログラミングを行う上では、「IDE(統合開発環境)」と呼ばれるツールをインストールし、その上で動作させていくのが一般的です。
IDE(統合開発環境)とは?:
コーディング、プログラム実行、デバッグ(プログラムの誤りを修正)など、プログラミングで必要な作業を多角的にサポートしてくれるツール
IDEの機能をすべて覚える必要はなく、まずはIDEをインストールして簡単にプログラムを書き、1歩ずつ理解を深めていきましょう。
なお、IDEにはたくさんの種類があり、多くはオープンソースソフトウエアとして無償提供がされています。代表的なIDEとしては、以下のようなものがあります。
代表的なIDE:
・Visual Studio(マイクロソフト社が提供、Windowsのアプリ開発を始め幅広く利用可能)
・Eclipse(IBMが商用製品として開発してたが、後にオープンソース化)
・Xcode(Apple社が提供、iOSやmacOSのアプリ開発向け)
・Android Studio(Google社が提供、Androidのアプリ開発向け)
など
また、Webサイトをプログラミングをするのであれば、こういったIDEは用意せず、テキストエディタとWebブラウザだけあればプログラミング可能です。
ステップ7:アプリケーションを作ってみる
プログラミングの基礎が固まったら、サービス、アプリ、ゲームなど、実際に使えるものとして形にしていきます。
ただ、最初から本格的なものを作るのは難しいため、「電卓」や「TODOリスト」などシンプルなアプリケーションから入ったほうがスムーズです。身近なアプリケーションほど、動作もイメージしやすいため、練習教材となってくれます。
一つアプリケーションが作れれば自信にもなります。それを糧として次はより複雑で難易度の高いアプリケーションに挑戦しましょう。それを繰り返すことで、プログラミングスキルが磨かれ、視野も広がっていきます。
就職して学んでみるのも手
プログラミングは実戦が大事ですので、IT企業へ就職して、仕事の現場で経験を積んでいくという方法もあります。
仕事であれば責任も問われるため、独学よりも成長が早いことが多いです。職場には先輩プログラマーもいますので、わからないことを聞くこともできます。
IT企業の中には、プログラミング未経験であってもプログラマーとして採用してくれる会社もあります。就職を考えてる人はキャリアアドバイザーなどに相談してみましょう。
目標や目的を明確化することが大切
以上、プログラミング初心者の独学の進め方について解説しました。
独学は自分で自由に進められるからこそ迷いやすい部分もあるため、狙いを定めて学んでいきたいところです。
そのためにも大切になるのは、「目標」や「目的」です。プログラミングを通じて何をしたいか、何を作りたいかが明確になっていれば自然と学習の道筋も立っていき、モチベーションにもつながります。
したがって、独学の勉強をはじめる前に、まずはなぜ自分がプログラミングを始めようとしているのかを整理してみると、よいスタートがきれ、よい発見もあるかもしれません。