非IT業界から未経験でITエンジニアを目指す人にとって、気になるのはその仕事内容ではないでしょうか。
昨今ではプログラミングに脚光が当てられがちですが、実はITエンジニアはさまざまな業務をこなしています。ITエンジニアとして活躍できるようになるためには、プログラミング以外の仕事もこなせるようにならなければいけません。
この記事では、未経験者が知っておくべきITエンジニアの仕事内容についてご紹介します。
ITエンジニアの仕事内容とは
あまり知られていませんが、ITエンジニアの仕事内容にはプログラミングの他にさまざまなものがあります。実際の業務の開発フローに沿って順番にご紹介しましょう。
企画と要件定義
ITの開発の入り口は、必ず「どのようなユーザーに対して、どのような価値を提供するか」を検討することから始まります。
一般的には非エンジニア職の人たちによって決定されることが多いですが、企画の段階からITエンジニアが参画するケースもあります。
どのようなサービスを提供すべきかを計測するために、Web系開発では「LP」(=Landing Page)や「MVP」(=Minimum Viable Product)といった手法を用いる場合があります。
LPとは、実際には未着手のサービスをWebページや動画で紹介し、それに対してのユーザーアクションを計測することでサービスに対するニーズを検証するものです。
そしてMVPとは、最低限の機能を持ったプロトタイプ的なサービスやアプリを短期間で開発し、それをもとにユーザーニーズを検証するものになります。
企画ができたら、次は要件定義に入ります。要件定義とは「サービスがユーザーに対して提供すべき機能要件を明確化すること」です。
機能要件とは、どのようなサービスを提供するかの機能を大枠で定義することを指します。
どのようなユーザーが、どのようなアクションを起こし、どのようなサービスを展開するか、具体的なところまで工程を落とし込む作業です。
綿密なヒアリングや打ち合わせが必要な工程で、それゆえ要件定義はシステム開発においての「最上流工程」とも言われます。
未経験からITエンジニアを目指す人にとってはまだ遠い仕事内容かもしれません。しかし逆に言えば、この工程を任されるようになれば、「どんな仕事でもこなせる」とITエンジニアとしてのお墨付きをもらったようなもの。
要件定義がこなせるITエンジニアを目指して、努力を重ねましょう。
設計
企画と要件定義で外枠が固まったら、次に設計に入っていきます。設計にもさまざまな種類があり、たとえば以下のようなものがあります。
- システム設計(サーバ設計、インフラ設計、ネットワーク構成など)
- アーキテクチャ設計
- 機能設計
- 画面設計
- API設計
- 開発フロー設計
- プログラミング言語・技術の選定
- コストの試算
一般的にアーキテクチャ設計は、高いスキルや経験を有した「アーキテクト」「テックリード」などと呼ばれるエンジニアが担当します。
画面設計には、専門的な知識のあるUIデザイナーやWebデザイナーに依頼することが多いです。
このような設計と並行して、実際に開発を行うプログラミング言語の選定や運用コストの試算などが行われます。
開発
設計が終わったらいよいよ開発の工程に入ります。設計段階で作成された設計書に基づいて、実際にプログラミングを行う工程です。
個別の開発に入る前にアプリケーション全体の構造やディレクトリ構成を決定し、ライブラリやフレームワークを用いてコーディングを進めます。
開発の際にはGIT(ギット)と呼ばれるバージョン管理システムを使用し、ソースコードを一元管理するのが一般的です。
フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアがそれぞれの担当タスクを消化し、システムを具現化していきます。
テスト
システムによっては開発工程の中にテストも含まれる場合、あるいはあらかじめシナリオなどを準備してテストを実施する場合があります。
Web系エンジニアの場合は、自動テスト用のコードをプログラミング中に組み込むのが一般的です。しかし実際はそれだけでカバーできないので、エンジニアやテスターによって手動テストが実施されるのです。
テストケースの表を作って、1つずつ検証する形でテストが進められます。
保守・運用
テストまで無事完了してリリースが完了すれば、開発工程は終了です。しかしアプリケーションとは、本番リリース後に保守・運用という工程が待っています。
保守・運用フェーズでは具体的に
- アプリケーションに問題が発生していないかモニターツールを導入して監視
- アクセスログやエラーログを分析するツールを別途導入
など、日常的に起きている不具合に対応するため、ユーザーには見えないところで作業が行われます。
アプリケーションに対する信頼度は保守・運用にかかっており、目立たないながら重要な役割を担っています。
開発手法の主流はアジャイル型へ
従来のシステム開発は、「ウォーターフォール型」と呼ばれる手法で進められてきました。
滝のように上から下へ、上流工程から下流工程に段階的に作業が流れていく方法です。
業務システムのような大規模開発においては、設計から開発への流れがトップダウンで進むウォーターフォール型は現在でも非常に有益とされています。
一方で、近年の中小規模Webシステムは仕組みや技術が流動的に変わるため、従来のウォーターフォール型では作業がスムーズに進められない問題が出てきました。
そこで注目されているのが、「アジャイル型」と呼ばれる手法です。
「アジャイル」は直訳すると「素早い」「俊敏な」という意味で、「計画→設計→実装→テスト」の小さなサイクルを繰り返すことによって開発が進められます。
優先度の高い機能から順次開発されるためリリースまでの期間を短縮できるうえ、サイクルが小さいので手戻りが発生してもリスクを最小限にとどめることができるのがメリットです。
現場の開発内容や体制などによってウォーターフォール型・アジャイル型どちらになるかは異なりますが、近年の主流はアジャイル型へ移行しつつあります。
未経験者はまずプログラミングを習得すべし
さまざまな仕事内容を見てきましたが、未経験エンジニアがまずすべきことは、プログラミングスキルの習得です。
プログラミングスキルは、開発工程のメインとも言える「開発」フェーズで必要です。ここができるようになれなければ、ITエンジニアとは呼べません。
プログラミングスキルを習得するための方法は、独学とプログラミングスクールの2種類があります。
独学
独学は、もっとも簡単にプログラミングスキルを習得する方法です。教材さえあれば今すぐに始められるうえ、コストがほぼかかりません。
使用する教材には、動画教材やWebサイト、テキストなど、有料・無料にかかわらずさまざまなものがあります。
しっかりとした技術を身に付けるためには、テキスト教材を1冊は購入して学習するとよいでしょう。
独学は手軽に始められる一方で、モチベーションを維持できず挫折する人も多く、学習意欲を継続できるかどうかが課題となります。
プログラミングスクール
独学ではモチベーションが続かないという人のために、プログラミングスクールという選択肢があります。
スクールによって費用はそれぞれで、決して安いものではありませんが、「将来への投資」と考えると損ではないはずです。カウンセリングや就職サポートまでしてくれるところもあるので、今後のキャリアプランを見直しながら学習を進めることができます。
カリキュラムによって通学制のものとオンライン制のものがあります。転職活動と並行して学習を進めるなら、オンラインがおすすめです。
ITエンジニアにはさまざまな仕事内容がある!未経験者はプログラミング習得から始めよう
未経験者が知っておくべきITエンジニアの仕事内容についてご紹介しました。
実際の現場に入ったら、ITエンジニアは設計から開発、テストなど、さまざまな仕事内容をこなしています。
より上流の工程に携われるようになるために、まず初めの一歩として、プログラミングを習得することから始めましょう。
未経験者にどんな案件があるか興味がある方は、ぜひ当社までご相談ください。