新型コロナウィルスの影響もあり、リモートワークやテレワークなど、場所に囚われない働き方が当たり前の時代になりつつあります。
さて仕事に慣れているベテランのITエンジニアであれば、リモートワークで働いている人は少なくはありませんが、それでは未経験の新人でもリモートワークで働くことは可能なのでしょうか。
今回は、未経験のITエンジニアにおけるリモートワーク事情について紹介します。
未経験でもリモートワークで働ける求人はある
結論からいえば、未経験入社のITエンジニアであっても、最初からリモートワークで働ける求人は存在します。
IT業界内には、すでに社員のほとんどがフルリモートになっている会社もあります。そのような会社であればリモートのための体制や機材が整っているため、経験者、未経験者問わずリモートワークで働きやすいのです。
フルリモートになっている会社では、逆に未経験者だけをリモートワークにするのはむずかしいということもあります。
また職種も関係し、とくにWEBエンジニアやプログラマーのような「リモートワークがしやすい職種」であれば、未経験であってもリモートワークで働けることが多いです。
入社後しばらくは出社が必要なことも
ただし、フルリモートを実施している会社であっても、入社後ある程度の期間は出社を求める会社もあります。「入社後数か月の間は、月に〇日以上の出社が必要」、「研修期間中は自社に毎日出社」のようなルールを設けている会社もあります。
こういったことをする意図としては、「会社に慣れてもらいたい」、「同期との関係がつくりやすいように」などが背景にあります。
リモートワークがしやすいIT職種
ITエンジニアといってもさまざまな職種や仕事があります。
以降で紹介する「リモートワークがしやすいIT職種」であれば、未経験であってもリモートで働ける機会に恵まれています。
WEBエンジニア
「WEBエンジニア」は、WEB系のサービスやアプリケーションを作るエンジニアです。
以下のような職種がWEBエンジニアに該当します。
- フロントエンドエンジニア
- バックエンドエンジニア
- WEBデザイナー など
WEB系の仕事は、小規模な案件が多く、分担もしやすいため、リモートワークに向いています。
扱う機器も基本的には一般的なPCであり、データの持ち出しなどもさほど厳しい職種ではないため、場所に依存せず働きやすいのです。
プログラマー
「プログラマー」は、リモート化が急速に進んでいる職種です。未経験のプログラマーが入社してすぐに在宅リモートワークとなることもあります。
プログラミングが主な仕事となりますので、極論をいえばPCとインターネット環境があれば、場所に縛られずに働くことができます。
チーム内で仕様についての打合せなどが発生することもありますが、これもリモートのWEB会議などを使えば自宅でも行えます。
ITサポート
「ITサポート」や「カスタマーサポート」も、PC、インターネット環境、通話設備さえあれば仕事が行えるため、リモート化が進んでいます。
入社後の研修や基礎教育のみ自社で行い、一通りの仕事を覚えたら機材一式を貸し出し、自宅などでリモートワークしてもらうというケースも少なくありません。
システムエンジニア
システムエンジニアの仕事は、コンサルティング、要件定義、基礎設計、構築、テストまで幅広いです。
顧客との打合せや現地作業のようにリモートでは対応がむずかしい業務もあります。一方で設計書作成やドキュメント作成のような机上の仕事はリモートでも対応できる場合があり、そういった部分はリモート化が進んでいます。
リモートワークがしにくいT職種
続いて「リモートワークがしにくいIT職種」を紹介します。ここで挙げる職種は未経験者だけでなくベテランエンジニアであってもリモートワークがしにくいことが多いです。
インフラエンジニア(ネットワークエンジニア、データベースエンジニア含む)
インフラエンジニアは、サーバーの設計、構築、セットアップ、テストなどを行う職種です。データセンターに出向き、現地のサーバーやネットワーク機器を実際に触る必要があるため、リモートワークはしにくい職種となります。
ただし近年は、従来のオンプレミス型のITシステム(自社内で運用するシステム)に変わり、クラウド上にシステムを作る非オンプレミス型のITシステムが普及しはじめています。
非オンプレミス型の案件を担当するインフラエンジニアであれば、インターネットを介して外部からクラウド上のシステムの構築やセットアップができるため、従来に比べリモートワークがしやすくなっています。
運用保守、監視
運用保守や監視系の仕事は、基本的にはデータセンター内で、専用の端末などを利用して行います。
外部から運用保守や監視を行うというのは、セキュリティ的に問題となりますし、そもそも外部環境と通信を遮断しているシステムも多いため、リモートワークはしにくいのが実情です。
ただしこちらも非オンプレミス型のシステムであれば、インターネットを介してリモートで対応できる案件も増えてきています。
SES系の案件
SES(システムエンジニアリングサービス)は、別名「社外SE」や「顧客先常駐」と呼ばれることもある働き方です。
SES系の案件は、大規模な開発プロジェクトを立ち上げ、社外のビルなどに開発ルームを貸し切り、そこに各社のエンジニアが大勢集まって、開発を進めるケースが多いです。
開発ルーム内に常駐となり、直行直帰で働くことが多く、IT業界内ではまだまだリモートワークの普及が進んでいない分野です。
未経験者がリモートワークで働くメリット・デメリット
リモートワークの働き方には、メリット・デメリットの両面があります。ここでは未経験者目線でのメリット・デメリットを解説します。
メリット
未経験者がリモートワークで働くメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 人間関係、職場の風土に悩まされない
- 自分のペースで働ける
- 通勤時間を削減できる
- 地方や田舎在住でも採用されることがある など
リモートワークのメリットとして大きいのは、やはり人間関係から解放されることです。
ITエンジニアの仕事は、チームを組み、毎日同じようなメンバーたちと、同じフロアで顔を合わせながら働くことが多いです。昼食や食事休憩などでコミュニケーションが求められることもあります。
リモートワークであれば、皆バラバラの場所で作業することになるため、そのような人間関係のしがらみからは解放されます。
一人で働いていたほうがストレスなく効率よく進められるという人は、リモートワーク向きです。
デメリット
未経験者がリモートワークで働くデメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- 質問や相談がしにくい
- 孤独感を覚える、人間関係が作りにくい
- 自己マネジメントができないと成果が出ない、成長もできない
- 会社への帰属意識が薄れる など
未経験者の場合、入社後に分からないことや質問したいことも多々出てきます。しかしリモートワークではオンラインで繋がっていたとしても、なかなか気軽に相談しにくい部分があります。
また未経験入社後にすぐにリモートワークとなると、上司、同僚、同期との交流もしにくくなるため、「自分はほんとうにこの会社に所属しているのだろうか」といった孤独感を覚えることもあります。
自己マネジメントも重要になるため、周りに人がいないとだらけてしまうタイプの人はリモートワークに不向きです。
リモートワークを選ぶ場合は適性を考えよう
以上のように、未経験者であってもすぐにリモートワークができる会社や職種はあります。とくにWEBエンジニアやプログラマー志望の方であれば、フルリモートの求人をみつけることはさほどむずかしくないでしょう。
ただしリモートワークには、向き不向きも大きく関係します。リモートワークのおかげで自分らしい働き方ができ満足している人もいますが、リモートワークを選んだがためにITエンジニアとして上手く成長できず、1年2年で辞めてしまうケースもあります。
リモートワークという働き方が本当に自分に合っているかを考えた上で選ぶのがよいでしょう。